原文 |
書き下し 漢文叢書 |
現代語訳 独自 |
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子曰 | 子曰く、 | 孔子曰く、 |
好勇 疾貧 |
勇ゆうを好このみて 貧ひんを疾にくむは |
勇を好み 貧を憎む、 |
亂也 | 乱らんなり、 | これが乱である。 |
人而 不仁 |
人として 不仁ふじんなる、 |
人として 不誠実な |
疾之 已甚 |
之これを疾にくむ 已甚はなはだしきは |
人を憎むこと 甚だしい。 |
亂也 | 乱らんなり。 | これが乱である。 |
※これは憎むのが良くないという意味ではなく(17-24:子貢しこう曰く、君子くんしも亦また悪にくむこと有あるか。子曰く、悪にくむこと有あり)、前段と後段と対比し、勇ではなく仁を好むことを求め、そういう為政・徳政を支持し(2-1:子曰爲政以德)、口先で民を貧困にする増税パーティーを退け貧をなくすべきであるという趣旨。
勇はやむ得えずなすもので、好むものではない(2-24:義ぎを見て為せざるは勇ゆう無きなり)。
このやむ得ないの「やむ」が疾と已に掛かる。それが「疾之已」。一般の訳は、「已甚」に、はな・はだを当てるが、「已」には、やむの他、はなはだの意味があり二重表現であるから、已は「やむ」と「はなはだ」の前後に掛かり強調しているという根拠がある。
乱は已む得なくない、裏返せば、未然に防げる(已然と未然は対)。それは仁を好む徳政によるべきで、乱と同列の鎮圧によるべきではない(以上独自説)。
以下、下村湖人の訳で、方向は良いとしても、解釈は文言と論語の文脈に忠実にする必要がある。
先師がいわれた。「社会秩序の破壊は、勇を好んで貧に苦しむ者によってひき起されがちなものである。
しかしまた、道にはずれた人を憎み過ぎることによってひき起されることも、忘れてはならない。」