原文 |
書き下し 漢文叢書 |
現代語訳 下村湖人+【独自】 要検討 |
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闕黨 童子 將命 |
闕党けつたうの 童子どうじ 命めいを将おこなふ。 |
闕けつという村の出身だった 一少年が、 先師の家で取次役をさせられていた。 |
或 問之 |
或あるひと 之これを問とうて、 |
そこである人が、 先師にたずねた。 |
曰 | 曰いはく、 | |
益者 與 |
益えきする者もの か。 |
【あの少年は 使える者 か、と。 |
子曰 | 子曰く、 | 孔子曰く、 |
吾 見 其居於位也 |
吾われ 其その位くらゐに居をるを 見みる、 |
私は その立場にいてすることを 見、 |
見 其與先生 竝行也 |
其その先生せんせいと 並ならび行ゆくを 見みる、 |
先生と 並んで行く有様を 見る。 |
非 求益者也 |
益えきを求もとむる者ものに 非あらざるなり、 |
私は使えることを求める者 ではない。 |
欲速成者 也 |
速すみやかに成ならんと 欲ほつする者もの なり。 |
速やかに成長することを 欲して用いる者 である。】 |
以下、下村湖人の訳
×「あの少年もよほど学問が上達したと見えますね。」
先師はこたえられた。「いやそうではありません。
私はあの少年が成人おとなの坐る席に坐っていたのを見ましたし、
また先輩と肩をならべて歩くのを見ました。
あの少年は学問の上達を求めているのでなく、
早く成人おとなになりたがっているのです。
それで実は取次でもやらして、仕込んで見たいと存じまして……」