原文 |
書き下し 漢文叢書 |
現代語訳 下村湖人 要検討 |
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楚狂 接輿 |
楚その狂きやう 接輿せつよ |
楚の国で、狂人をよそっていた 接輿せつよという人が、 |
歌而過孔子 | 歌うたうて孔子こうしを過すぐ。 | 先師の車のそばを通り過ぎながら、歌った。 |
曰 | 曰いはく、 | |
鳳兮鳳兮 | 鳳ほうや鳳ほうや、 | 「鳳凰ほうおうよ、鳳凰ほうおうよ、 |
何德之衰 | 何なんぞ徳とくの衰おとろへたるや、 | 神通力は、どうしたか。 |
往者不可諫 | 往者おうしやは諫いさむべからず、 | すんだことなら仕方がない。 |
來者猶可追 | 来者らいしやは猶なほ追おふべし、 | これから先はしっかりせい |
已而已而 | 已やまん已やまん、 |
国の舵取りゃあぶないぞ やめたらどうぞい。やめたらぞい。 |
今之 從政者 殆而 |
今いまの 政まつりごとに從したがふ者ものは 殆あやふしと。 |
国の舵取りゃあぶないぞ」 |
孔子下 | 孔子こうし下くだりて、 | 先師は車をおりて、 |
欲與之言 | 之これと言いはんと欲ほつす。 | 接輿と話をしようとされた。 |
趨而辟之 | 趨はしつて之これを辟さけ、 | しかし、接輿が大急ぎでどこかにかくれてしまったので、 |
不得與之言 | 之これと言いふを得えず。 | お話しになることが出来なかった。 |
○ 接輿=やはり隱者の一人であろう。名はわからない。孔子の車に接近したので、かりに接輿と名をつけられたのだろうといわれている。(參照三七三章、三七四章)
○ この話は、孔子六十四歳の時で、楚に行こうとした頃のことだといわれている。