原文 |
書き下し 漢文叢書 |
現代語訳 下村湖人 要検討 |
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子夏之門人 | 子夏しかの門人もんじん | 子夏の門人が |
問交於 子張 |
交まじはりを 子張しちやうに問とふ。 |
人と交る道を 子張にたずねた。 |
子張曰 | 子張しちやう曰く、 | 子張がいった。 |
子夏云何 | 子夏しかは何なにと云いへる。 | 「子夏は何といったのか。」 |
對曰 | 対こたへて曰く、 | 子夏の門人がこたえた。 |
子夏曰 | 子夏曰く、 | |
『可者 與之 |
可かなる者ものは 之これに与くみして、 |
「為めになる人と 交り、 |
其不可者 拒之』 |
其その不可ふかなる者ものは 之これを拒ふせぐと。 |
為めにならない人とは 交るな、といわれました。」 |
子張曰 | 子張しちやう曰く、 | 子張がいった。 |
異乎 吾所聞 |
吾わが聞きく所ところに 異ことなり、 |
「それは私の学んだこととは ちがっている。 |
『君子 尊賢而 容衆 |
君子くんしは 賢けんを尊たふとび 衆しうを容いれ、 |
君子は 賢者を尊ぶと共に 衆人を包容し、 |
嘉善而 矜不能』 |
善ぜんを嘉よみして 不能ふのうを矜あはれむ、 |
善人を称讃すると共に 無能の人をあわれむ、 と私はきいている。 |
我之 大賢與 |
我われの 大賢たいけんなるか、 |
自分がもし 大賢であるなら、 |
於人何 所不容 |
人ひとに於おいて何なんぞ 容いれられざる所ところあらん、 |
誰と交ろうと平気だし、 |
我之 不賢與 |
我われの 不賢ふけんなるか、 |
自分がもし 賢くなければ、 |
人將 拒我 |
将まさに 我われを拒ふせがんとす、 |
こちらが相手をきらうまえに、 |
如之何 其拒人也 |
之を如何いかんぞ 其それ人ひとを拒ふせがん。 |
相手がこちらをきらうだろう。」 |
○ 二六八章【11-15】において、孔子は子張を「行きすぎる」と評し、子夏を「行き足りない」と評している。本章の二人の言葉と対比して興味が深い。万事にひかえ目な子夏は、おそらく門人に、人と交る道を問われて、「交友の道」を説いたのであろうし、気の大きい、行き過ぎがちな子張は、「ひろく人と交る道」を説いたのであろう。