原文 |
書き下し 漢文叢書 |
現代語訳 独自 |
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子貢曰 | 子貢しこう曰く、 | 子貢曰く、 |
紂之 不善 |
紂ちうの 不善ふぜんは、 |
殷の紂王の よからぬことは、 |
不如是 之甚也 |
是かくの如ごとく 之これ甚はなはだ しからざるなり、 |
言われるほどには 甚だしくなかった という。 |
是以 君子 惡居 下流 |
是これを以もつて 君子くんしは 下流かりうに居をるを 悪にくむ、 |
このことをもって、 君子は 低いレベルにいることを 嫌う。 |
天下之惡 皆歸焉 |
天下てんかの悪あく 皆みな焉これに帰きす。 |
天下の悪が みな自身に帰してしまうからである。 |
※しかしこの最後の論理は勇み足で、 孔子は日月で越えられないとした自説(19-24)、 また堯・舜の「帝心朕躬有罪」(20-1) という孔子が讃えた君子論にも反する。 |
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以下、下村湖人の訳 | ||
× 子貢がいった。 「殷いんの紂王ちゅうおうの 悪行も 実際はさほどではなかったらしい。 しかし、今では罪悪の溜池ででも あったかのようにいわれている。 だから君子は道徳的低地に居って、 天下の衆悪が 一身に帰せられるのを悪むのだ。」 |
○ 紂王については四六一章【18-1】註參照。