原文 |
書き下し 漢文叢書 |
現代語訳 下村湖人+【独自】 要検討 |
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子 謂子貢曰 |
子し 子貢しこうに謂いつて曰く、 |
先師が 子貢にいわれた。 |
女與回也 孰愈 |
女なんぢと回くわいと 孰いずれか愈まされる。 |
「お前と囘かい(門人顔囘)とは、 どちらがすぐれていると思うかね。」 |
對曰 | 対こたへて曰く、 | 子貢がこたえていった。 |
賜也 何敢 望回 |
賜しや、 何なんぞ敢あへて 回くわいを望のぞまん。 |
「私ごときが、 囘と肩をならべるなど、 思いも及ばないことです。 |
回也 聞一 以知十 |
回くわいや、 一を聞ききて 以て十を知り、 |
囘は 一をきいて 十を知ることが出来ますが、 |
賜也 聞一 以知二 |
賜しや 一を聞ききて 以もつて二を知る。 |
私は 一をきいて やつと二を知るに過ぎません。」 |
子曰 弗如也 |
子曰く、 如しかざるなり、 |
すると先師はいわれた。 【そういうことではない。 |
吾與女 弗如也 |
吾われ女なんぢと 如しかざるなり。 |
私とおまえはともに そうではない。 |
※そうした知の如きことではなく 人間性たる仁について聞いている。 孔子の価値基準は仁だから。 仁に不知を連発した前章参照】 |
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××「実際、囘には及ばないね。 それはお前のいうとおりだ。 お前のその正直な答はいい。」 |
○ 一をきいて十を知る=十は全体の意。物事の一端を説き聞かされると全体がわかる、というのである。
○ 一をきいて二を知る=二は第二の意。物事の一端を説き聞かされると、つぎのことがわかるというのである。(一五章參照)