原文 |
書き下し 漢文叢書 |
現代語訳 下村湖人+【独自】 要検討 |
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孟武伯 問 |
孟武伯まうぶはく 問とふ、 |
孟武伯もうぶはく【前出2-6】が 先師にたずねた。 |
子路 仁乎 |
子路しろ 仁じんなるか。 |
「子路は 仁者でございましょうか。」 |
子曰 不知也 |
子曰く、 知らざるなり。 |
先師がこたえられた。 「わかりませぬ。」 |
又問 | 又また問とふ。 |
孟武伯は、しかし、おしかえして また同じことをたずねた。 |
子曰 | 子曰く、 | すると先師はいわれた。 |
由也 | 由いうや | 「由ゆう(子路の名)は |
千乘之國 | 千乗せんじようの国くに、 | 千乗の国(諸侯の国)の |
可使治 其賦也 |
其賦そのふを 治をさめしむべきなり、 |
軍事を【前章由也参照】 司るだけの能力はありましょう。 |
不知 其仁也 |
其仁じんを 知しらざるなりと。 |
しかし仁者といえるかどうかは 疑問です。」 |
求也 何如 |
求きうや 如何いかん。 |
「では、求きゅう(冉有の名)は いかがでしょう。」 |
子曰 | 子曰く、 | 先師はこたえられた。 |
求也 | 求きうや | 「求は |
千室之邑 | 千室せんしつの邑いふ、 | 千戸の邑(当時の都会)の |
百乘之家 | 百乗ひやくじようの家いへ、 | 百乗の家(大夫の家)の |
可使爲 之宰也 |
之れが宰さい たらしむべきなり。 |
代官とか、執事とかいう役目なら 十分果せましょう。 |
不知 其仁也 |
其仁じんを 知しらざるなり。 |
しかし、仁者といえるかどうかは 疑問です。」 |
赤也 何如 |
赤せきや 如何いかん。 |
「赤せき(孔子の門人。 姓は公西、字は子華、 赤はその名。魯の人)は どうでしょう。」 |
子曰 | 子曰く、 | 先師はこたえられた。 |
赤也 | 赤せきや | 「赤は |
束帶 立於朝 |
束帶そくたいして 朝てうに立たち、 |
式服をつけ、 宮庭において |
可使與 賓客言也 |
賓客ひんかくと 言はしむべきなり、 |
外国の使臣の 応接をするのには適しています。 |
不知 其仁也 |
其仁じんを 知しらざるなり。 |
しかし、仁者であるかどうかは 疑問です。」 |
○本章において、孔子は孟武伯の問に対し、三人の門人の人物才能を大体から見て大中小の三段にわかち、且つそれぞれの特長を述べている。
子路は大きい人物ではあるが、軍事に適して文事に適しない。
冉有は中の人物で文官型。
公西華は小の人物で、禮の形式に通じていたのである。