原文 |
書き下し 漢文叢書 |
現代語訳 下村湖人 要検討 |
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子貢 曰 |
子貢しこう 曰いはく、 |
子貢が いった。 |
夫子之 文章 |
夫子ふうしの 文章ぶんしやうは、 |
「先生の ご思想、ご人格の華はなというべき詩書礼楽のお話や、日常生活の実践に関するお話は、 |
可 得而 聞也 |
得えて 聞きく 可べきなり、 |
いつでもうかがえるが、 |
夫子之 言 性與天道 |
夫子ふうしの 性せいと天道てんだうとを 言ふは、 |
その 根本をなす人間の本質とか、宇宙の原理とかいう哲学的なお話は、 |
不可 得而 聞也 |
得えて 聞きく べからず。 |
容易にはうかがえない。」 |
○ 文章(原文)=普通今日用いられている文章の意ではない。あや、かざり、表面にあらわれた善美なもの、という意味である。
○ この一章は、子貢が孔子の口からめつたに哲学的な話が聞けないのを残念に思つての言葉なのか、或は、たまたまそれをきいて、喜んだ言葉なのか、はつきりしない。いずれにしても、そういうことを問題にしたがるところに、子貢の長所もあり、欠点もあり、そしてそこに、他の門人には見られない彼の特異性があつたのである。