原文 | 書き下し |
現代語訳 (下村湖人) |
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子曰 | 子曰く、 | 先師がいわれた。 |
夏禮 吾能 言之 |
夏かの礼れいは 吾われ能よく 之これを言いへども、 |
「私はしばしば 夏かの礼制の 話をするが、 |
杞 不足 徵也 |
杞き 徴ちようするに 足たらざるなり。 |
夏の子孫の国である現在の杞きには、 私のいうことを証拠立てるようなものが 何も残っていない。 |
殷禮 吾能 言之 |
殷いんの礼は 吾れ能く 之れを言へども、 |
私はしばしば 殷いんの礼制の 話をするが、 |
宋 不足 徵也 |
宋そう 徴するに 足らざるなり。 |
殷の子孫の国である現在の宋そうには、 私のいうことを証拠立てるようなものが 何も残っていない。 |
文獻 不足 故也 |
文献ぶんけん 足たらざるが 故なり。 |
それは典籍も 不十分であり、賢人もいない からだ。 |
足 則 吾能 徵之矣 |
足らば 則 吾能く 之れを徴せん。 |
それらがありさえすれば、 私は私のいうことが正しいということを完全に 証拠立てることが出来るのだが。」 |