原文 | 書き下し |
現代語訳 下村湖人+【独自】 |
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王孫賈 問曰 |
王孫賈わうそんか 問とうて曰く、 |
王孫賈おうそんかが 先師にたずねた。 |
『與 其媚於奧 寧媚於竈』 |
其の奧あうに媚こびん 与よりは、 寧むしろ竈かまどに媚こびよ |
「奥おくの神様に媚びるよりは、 むしろ竈かまどの神様に媚びよ、 |
何謂也 |
とは、 何なんの謂いひぞや。 |
という諺がございますが、 どうお考えになりますか。」 |
子曰 | 子曰く、 | 先師がこたえられた。 |
不然 | 然らず、 | 【不適当。】 |
×「いけませぬ。大切なことは 罪を天に得ないように 心掛けることです。 |
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獲罪於天 | 罪つみを天てんに獲うれば、 | 罪を天に得たら、 |
無 所禱也 |
禱いのる所ところ 無なし。 |
【祈る所はない】 |
どんな神様に祈っても 甲斐がありませぬ。」 |
【下村訳は王孫賈への穏やかな忠告のようにしているが、以下の下村注と通説によれば、本章は王孫賈が仕官したいなら自分に媚びたらどうか、というほのめかしを拒絶したやりとりだから、丁寧調の訳出は極めて不適当。そのような持ちかけに応じることを罪とした、孔子の強い姿勢をくじいているとも言える】
孔子は当時衛にいた。王孫賈は孔子が衛に仕えたい希望をもつていると察し、衛王【奥】の機嫌をとるよりも自分【竈】の機嫌をとれば、何とかなる、という意を、奥と竈にたとえてほのめかしたのである。