論語11-19 子張 問 善人之道:原文対訳

論語
先進第十一
19
善人之道
色莊者
原文 書き下し
漢文叢書
現代語訳
独自
子張

善人之道
子張しちやう
善人ぜんにんの道みちを
問とふ。
子張が
善人の道を
たずねた。
     
子曰 子曰く、 孔子曰く、
不踐
跡あとを
踐ふま【ず】×ざれども
過去と同じ轍を
踏まず、


入於室
亦また
室しつに入いら
ず。
また(加えて+再び)
来し方に後戻り
しない道である。
  /國譯漢文大成
子し曰いはく、
跡あとを踐ふまず
亦また
室しつに入いらずと。
 ※これが古来=先進の趣旨。
「不踐跡」は多義的に解す。
①過去を顧み同じ轍を踏まない
②その上で自らの道を行く
これと同旨が温故知新(2-11)

 

 以下、下村湖人の訳。「異説の多い一章だが、独自の見解に基いて訳して見た」と注されるが、以下で自己流では奥義をつかめないとしているのはどういう訳か。文言から離れて訳と言えるかも疑問。一見して理解が難しいほど文言に忠実にするのが解釈で、すぐ文言から離れるなら素人でもできる。道と家(ここでは室)は同じレベルの高次の象徴的表現で、そのレベルの理解力が問われる。轍は車(カー・カルマ)の跡で足跡と違うのも古の知識。足跡を踏むとは言わない。

「天性善良な人は、べつに学問などしなくても、自然に道に合するようになる、というようにも考えられますが、いかがでしょう。」
「どうなり危険のない道を進むことは出来るかも知れない。しかし、せっかく先人に開拓してもらったすばらしい道があるのに、その道を歩かないというのは惜しいことだ。それに、第一、そんな自己流では、所詮、道の奥義をつかむことは出来ないだろう。」

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