原文 (実践女子大本) |
現代語訳 (渋谷栄一) |
注釈 【渋谷栄一】 |
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返し、 | 返歌、 | |
なにかこの | どうして | 【なにか—濡らすらむ】-反語表現の構文。 |
ほどなき袖を | 取るに足りないわたしごときが | |
濡らすらむ | 夫の死を悲しんで泣いていられましょうか | 【袖を濡らす】-泣く意。 |
霞の衣 | 国母が崩御されて | |
なべて着る世に | 国中が薄鈍色の喪に服しているときに | |
「東三条院かくれさせ給うて又のとしの春せうそこしたる人の返事に 紫式部
何かこのほどなき袖をぬらすらむ霞のころもなべてきる世に」(「新千載集」哀傷 二一八〇)