原文 (実践女子大本) |
現代語訳 (渋谷栄一) |
注釈 【渋谷栄一】 |
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花の散るころ、 | 桜の花の散るころ、 | 【花の散るころ】-桜の花。 |
梨の花といふも、 | 梨の花といっても、 | |
桜も夕暮れの | 桜も夕暮れ時の | |
風の騒ぎに、 | 風の騒ぎで、 | 【風の騒ぎ】-「さはき」は平安の仮名遣い。 |
いづれと見えぬ色なるを、 | どちらとも見分けられない色なので、 | |
花といはば | 花といったら | 【花といはば】-ハ行四段動詞「いは」未然形+接続助詞「ば」順接の仮定条件。 |
いづれか匂ひ | 桜と梨とどちらが〈匂い〉色つやが | |
なしと見む | ないと見ようか | 〈梨で匂いなし〉 |
散り交ふ色の | 散りかう色は | |
異ならなくに | どちらも違わないのだから | 【異ならなくに】-「異なら」未然形+打消の助動詞「な」未然形+準体助詞「く」+格助詞「に」、異ならないのに。 |
「なしの花のさくらとともにちりけるをみてよめる 紫式部
花といはばいづれか匂ひなしとみむ散りかふ色のことならなくに」(吉田兼右筆本「続後拾遺集」物名 五〇三)