第一部 若かりし頃 |
第二部 近江・越前 |
第三部 言い寄る夫 |
第四部 夫の死 |
第五部 転機 |
第六部 初々し出仕 |
第七部 栄花と追憶 |
第八部 月影の人 |
第九部 宮中と女房 |
第十部 天の川の人 |
第十一部 終の予感 |
※項目立ては独自
詳解 定家本 |
和歌 | 人物 |
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36 |
折りて見ば 近まさりせよ 桃の花 思ひ隈なき 桜惜しまじ |
紫式部 |
37 |
桃といふ 名もあるものを 時の間に 散る桜にも 思ひ落とさじ |
人 |
38 |
花といはば いづれか匂ひ なしと見む 散り交ふ色の 異ならなくに |
紫式部 |
39 |
いづかたの 雲路と聞かば 訪ねまし 列離れけむ 雁がゆくへを |
紫式部 |
40 |
雲の上も もの思ふ春は 墨染めに 霞む空さへ あはれなるかな |
人 |
41 |
なにかこの ほどなき袖を 濡らすらむ 霞の衣 なべて着る世に |
紫式部 |
42 |
夕霧に み島隠れし 鴛鴦の子の 跡を見る見る 惑はるるかな |
亡くなりし人の女 |
43 |
散る花を 嘆きし人は 木のもとの 寂しきことや かねて知りけむ |
紫式部 |
44 |
亡き人に かごとはかけて わづらふも おのが心の 鬼にやはあらぬ |
紫式部 |
45 |
ことわりや 君が心の 闇なれば 鬼の影とは しるく見ゆらむ |
? |
46 |
春の夜の 闇の惑ひに 色ならぬ 心に花の 香をぞ染めつる |
紫式部 |
47 |
さ雄鹿の しか慣らはせる 萩なれや 立ちよるからに おのれ折れ伏す |
紫式部 |
48 |
見し人の 煙となりし 夕べより 名ぞ睦ましき 塩釜の浦 |
紫式部 |