原文 実践女子大本 (定家本系筆頭) |
現代語訳 (渋谷栄一) |
注釈 【渋谷栄一】 |
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小少将の君の | 小少将の君が | 【小少将の君】-源扶義の女、道長の北の方倫子の姪。 |
書きたまへりしうちとけ文の、 | 生前にお書きになった心を許した手紙が、 | |
物の中なるを見つけて、 | 何かの中にあったのを見つけて、 | |
加賀少納言のもとに、 | 加賀の少納言のもとに、 | 【加賀少納言】-素性不明の女房。 |
暮れぬ間の | 日が暮れない間の | 【暮れぬ間の身】-一日の間。はかない寿命をいう。 |
身をば思はで | はかない身であることを考えないで、 | |
人の世の | 人の寿命の | |
哀れを知るぞ | 悲哀を知るとは | |
かつは悲しき | 一方では悲しいことです | |
「うせにける人のふみの、ものの中なるをみいでて、そのゆかりなる人のもとにつかはしける 紫式部
くれぬまの身をば思はで人のよのあはれをしるぞかつははかなき」(寿本「新古今集」哀傷 八五六)