原文 (実践女子大本) |
現代語訳 (渋谷栄一) |
注釈 【渋谷栄一】 |
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返し、 | 返歌は、 | 【返し】-作者の家に方違えに来た人の返歌。 |
手を見わかぬにやありけむ、 | 筆跡を見分けることができなかったのであろうか、 | 【手を見分かぬ】-筆跡を誰が書いたものか見分けることができない。 |
いづれぞと | どちらからの筆跡かと | 【いづれぞと色分く】-作者の姉の筆跡か妹の作者の筆跡かと見分ける意。 |
色分くほどに | 見分けているうちに、 | 「色分く」は「朝顔」の縁。「見分く」と同じ。弁別する。 |
朝顔の | 朝顔の花のように | 【朝顔】-「朝顔」歌語。朝咲き夕べには萎んでしまう、はかなさの象徴。 |
あるかなきかに | 萎れてしまいそうに | |
なるぞわびしき | なるのが辛いことです | |
*「返し よみびとしらず
いづれぞと色わくほどに槿のあるかなきかになるぞかなしき」(尊経閣文庫本「続拾遺集」恋四 一〇〇三)