源氏物語・横笛巻の和歌8首を抜粋一覧化し、現代語訳と歌い手を併記、原文対訳の該当部と通じさせた。
内訳:2(夕霧)、1×6(朱雀院=源氏異母兄、女三宮=朱雀娘、落葉宮=柏木妻、一条御息所=落葉の母、柏木)※最初と最後
即答 | 4首 | 40字未満 |
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応答 | 0 | 40~100字未満 |
対応 | 2首 | ~400~1000字+対応関係文言 |
単体 | 2首 | 単一独詠・直近非対応 |
※分類について和歌一覧・総論部分参照。
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上下の句に分割したバージョン。見やすさに応じて。
なお、付属の訳はあくまで通説的理解の一例なので、訳が原文から離れたり対応していない場合、より精度の高い訳を検討されたい。
原文 (定家本校訂) |
現代語訳 (渋谷栄一) |
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512 贈 |
世を別れ 入りなむ道は おくるとも 同じところを 君も尋ねよ |
〔朱雀院〕この世を捨てて お入りになった道は わたしより遅くとも 同じ極楽浄土を あなたも求めて来て下さい |
513 答 |
憂き世には あらぬところの ゆかしくて 背く山路に 思ひこそ入れ |
〔女三宮=朱雀娘〕こんな辛い世の中とは 違う所に 住みたくて わたしも父上と同じ山寺に 入りとうございます |
514 独 |
憂き節も 忘れずながら 呉竹の こは捨て難き ものにぞありける |
〔源氏〕いやなことは 忘れられないが この子はかわいくて 捨て難く 思われることだ |
515 贈 |
ことに出でて 言はぬも言ふに まさるとは 人に恥ぢたる けしきをぞ見る |
〔夕霧〕言葉に出して おっしゃらないのも、 おっしゃる以上に深いお気持ちなのだと、 慎み深い 態度からよく分かります |
516 答 |
深き夜の あはればかりは 聞きわけど ことより顔に えやは弾きける |
〔落葉宮:柏木妻〕趣深い秋の夜の 情趣は ぞんじておりますが、 靡き顔に 琴をお弾き申したでしょうか |
517 贈 |
露しげき むぐらの宿に いにしへの 秋に変はらぬ 虫の声かな |
〔一条御息所:落葉の母〕涙にくれています この荒れた家に 昔の 秋と変わらない 笛の音を聞かせて戴きました |
518 答 |
横笛の 調べはことに 変はらぬを むなしくなりし 音こそ尽きせね |
〔夕霧〕横笛の 音色は特別 昔と変わりませんが 亡くなった人を 悼む泣き声は尽きません |
519 独 |
笛竹に 吹き寄る風の ことならば 末の世長き ねに伝へなむ |
〔柏木〕この笛の音に 吹き寄る風は 同じことなら わたしの子孫に 伝えて欲しいものだ |