源氏物語1帖 桐壺 3-8b 御方々の人びと:逐語対訳

大人になり 桐壺
第3章
8b
御方々
里の殿
原文
定家本
明融臨模本
現代語訳
(渋谷栄一)
各自要検討
注釈
【渋谷栄一】
各自要検討
御方々の人びと、 それぞれお二方にお仕えする女房たちは、 【御方々の人びと】
:源氏と女君に仕える女房たち。
世の中におしなべたらぬを選りととのへすぐりてさぶらはせたまふ。 世間から並々でない人たちをえりすぐってお仕えさせなさる。 【さぶらはせたまふ】
:主語は左大臣。
「せ」使役の助動詞。
     
御心につくべき御遊びをし、 お気に入りそうなお遊びをし、 【御心につくべき御遊び】
:源氏の気持ちに。
おほなおほな思しいたつく。 せいいっぱいにお世話していらっしゃる。 【おほなおほな思しいたつく】
:主語は左大臣。副詞「おほなおほな」は、我身を忘れて一生懸命に、の意。
「いたつく(労)」は、古くは清音(日本書紀)、後世に濁音「いたづく」(日葡辞書)となる。
     
内裏には、
もとの淑景舎を御曹司にて、
内裏では、
もとの淑景舎をお部屋にあてて、
【内裏にはもとの淑景舎を御曹司にて】
:内裏では源氏にゆかりのある淑景舎(桐壺)をお部屋にあてて。
母御息所の御方の人びと
まかで散らずさぶらはせたまふ。
母御息所にお仕えしていた女房を
退出して散り散りにさせずに
引き続いてお仕えさせなさる。
【まかで散らずさぶらはせたまふ】
:主語は帝である。以下、帝の指示によって「里の殿」の修繕などもなされる。
大人になり 桐壺
第3章
8b
御方々
里の殿