源氏物語1帖 桐壺 3-8a 大人になりたまひて:逐語対訳

主上の常に 桐壺
第3章
8a
大人になり
御方々
原文
定家本
明融臨模本
現代語訳
(渋谷栄一)
各自要検討
注釈
【渋谷栄一】
各自要検討
大人になりたまひて後は、 元服なさってから後は、 【大人になりたまひて後は】
:以下の文末は現在形で語られる。
ありしやうに御簾の内にも入れたまはず。 かつてのように御簾の内側にもお入れにならない。 【ありしやうに御簾の内にも入れたまはず】
:帝は以前のように源氏を御簾の内側にお入れにならない。成人したからである。
     
御遊びの折々、 管弦の御遊の時々、  
琴笛の音に聞こえかよひ、 琴と笛の音に心通わし合い、 【琴笛の音に聞こえかよひ】
:源氏の吹く笛の音色に御簾の内側から藤壺が琴の音を合わせて弾くことによって気持ちを通じ合わせている。音楽が源氏の心を通わす経路となっている。
ほのかなる御声を慰めにて、 かすかに漏れてくるお声を慰めとして、 【ほのかなる御声】
:藤壺のかすかなお声。
内裏住みのみ好ましうおぼえたまふ。 内裏の生活ばかりを好ましく思っていらっしゃる。  
     
五六日さぶらひたまひて、 五、 六日は内裏に伺候なさって、  
大殿に二三日など、 大殿邸には二、 三日程度、  
絶え絶えにまかでたまへど、 途切れ途切れに退出なさるが、  
ただ今は幼き御ほどに、 まだ今は若いお年頃であるので、  
罪なく思しなして、 つとめて咎めだてすることなくお許しになって、 【罪なく思しなして】
:左大臣は咎めだてすることなくお許しになって、「なして」には無理してそうするというニュアンスがある。
いとなみかしづききこえたまふ。 婿君として大切にお世話申し上げなさる。  
主上の常に 桐壺
第3章
8a
大人になり
御方々