源氏物語1帖 桐壺 3-7c 御子どもあまた腹々に:逐語対訳

この大臣 桐壺
第3章
7c
御子ども
主上の常に
原文
定家本
明融臨模本
現代語訳
(渋谷栄一)
各自要検討
注釈
【渋谷栄一】
各自要検討
御子どもあまた腹々にものしたまふ。 左大臣にはご子息たちが大勢それぞれの夫人方にいらっしゃる。 【御子どもあまた腹々にものしたまふ】
:主語は引入の大臣。その大臣の正妻北の方は帝と同腹の宮であるが、その他の夫人方との間にも大勢の子供たちがいるということを語る。現在形の文末表現。
     
宮の御腹は、 宮がお生みの方は、 【宮の御腹は蔵人少将にて】
:先の「女君」の他に男子もいて、蔵人兼少将(正五位下相当)であった。源氏には従兄弟でもある。
蔵人少将にていと若うをかしきを、 蔵人少将でたいそう若く美しい方なので、 【いと若うをかしきを】
:接続助詞「を」は、順接の確定条件、原因・理由を表す。--なので。
右大臣の、
御仲はいと好からねど、
右大臣が、
左大臣家とのお間柄はあまりよくないが、
【右大臣の】
:格助詞「の」主格を表す。
「御仲はいと好からねど」は挿入句。
     
え見過ぐしたまはで、 他人として放っておくこともおできになれず、  
かしづきたまふ四の君にあはせたまへり。 大切になさっている四の君に婿取りなさっていた。 【四の君】
:右大臣家の四の君に蔵人兼少将は婿取りされる。一の親王の母弘徽殿女御の妹君に当たる。
     
劣らずもてかしづきたるは、 劣らず大切にお世話なさっているのは、 【劣らず】
:左大臣家の婿扱いに比較して劣らない。
あらまほしき御あはひどもになむ。 両家とも理想的な婿舅の間柄である。 【御あはひども】
:接尾語「ども」複数の意は、左大臣家と右大臣家をさす。
この大臣 桐壺
第3章
7c
御子ども
主上の常に