原文 定家本 明融臨模本 |
現代語訳 (渋谷栄一) 各自要検討 |
注釈 【渋谷栄一】 各自要検討 |
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この大臣の御おぼえいとやむごとなきに、 | この大臣は帝のご信任が厚い上に、 | |
母宮、 内裏の一つ后腹になむおはしければ、 |
姫君の母宮が 帝と同じ母后からのお生まれでいらっしゃったので、 |
【母宮内裏の一つ后腹になむおはしければ】 :女君の母宮は帝と同腹の兄妹でいらしたので。 |
いづ方につけても | どちらから言っても |
【いづ方につけても】 :大臣は帝の信任が厚く、また一方でその妻は帝の同腹の妹宮。 |
いとはなやかなるに、 | 立派な上に、 |
【いとはなやかなるに】 :「に」接続助詞、そのうえ、という意を表す。 |
この君さへかくおはし添ひぬれば、 | この源氏の君までがこのように婿君としてお加わりになったので、 |
【かくおはし添ひぬれば】 :帝の御子が婿として左大臣家にお加わりになったので。 |
春宮の御祖父にて、 | 東宮の御祖父で、 | |
つひに世の中を知りたまふべき右大臣の御勢ひは、 | 最後には天下を支配なさるはずの右大臣のご威勢も、 | |
ものにもあらず圧されたまへり。 | 敵ともなく圧倒されてしまった。 |
【ものにもあらず圧されたまへり】 :完了の助動詞「り」(存続)は、源氏結婚後の帝と引入の左大臣家との結び付きが強まり、それ以後、一の親王の東宮を擁する右大臣家が圧倒されていることを語る。 |