源氏物語1帖 桐壺 3-7a その夜、大臣の御里に:逐語対訳

左馬寮の御馬 桐壺
第3章
7a
大臣の御里
この大臣
原文
定家本
明融臨模本
現代語訳
(渋谷栄一)
各自要検討
注釈
【渋谷栄一】
各自要検討
その夜、 その夜、  
大臣の御里に
源氏の君
まかで
させたまふ。
大臣のお邸に
源氏の君を
退出
させなさる。
【まかでさせたまふ】
:「させ」(使役の助動詞)「たまふ」(尊敬の補助動詞)、帝の行為に対して使われている。帝が源氏を大臣邸にご退出させなさる。現在形の文末表現。
     
作法世にめづらしきまで、 婿取りの儀式は世に例がないほど立派に 【作法世にめづらしきまでもてかしづききこえたまへり】
:「作法」、「きこえ」(謙譲の補助動詞)「たまへ」(尊敬の補助動詞)「り」(完了の助動詞、存続)。大臣の源氏婿取りの作法は世に前例がないほど立派にお整え申し上げなさっていた。以下、その夜以後の内容を語るので、文末は「り」「たり」(完了の助動詞、存続)で語られる。
もてかしづききこえたまへり。 おもてなし申し上げなさった。  
     
いときびはにておはしたるを、 とても若くおいでなのを、  
ゆゆしう
うつくしと思ひきこえたまへり。
〈けしからぬほど〉×不吉なまでに
かわいいとお思い申し上げなさった。
 
     
女君はすこし過ぐしたまへるほどに、 女君は少し年長でおいでなのに対して、 【すこし過ぐしたまへるほどに】
:女君の年齢が源氏よりも少し年長でいらしたのに対して。
いと若うおはすれば、 婿君がたいそうお若くいらっしゃるので、 【いと若うおはすれば】
:主語は源氏。挿入句。源氏がたいそうお若くいらっしゃるので、という理由。
似げなく恥づかし 似つかわしくなく恥ずかしい 【似げなく恥づかし】
:女君の心。年齢が合わず恥ずかしい。あまりに若い婿を迎えた成人女性の恥じらいの気持ち。
と思いたり。 とお思いでいらっしゃった。 【思いたり】
:女君はお思いでいらっしゃった。以上、婿取りの夜の儀式からそれ以後、現在までの大臣や女君の思いを語った。完了の助動詞、存続形の文末表現。
左馬寮の御馬 桐壺
第3章
7a
大臣の御里
この大臣