源氏物語1帖 桐壺 2-2k 若き人びと:逐語対訳

月は入り方 桐壺
第2章
2k
若き人びと
命婦は
原文
定家本
明融臨模本
現代語訳
(渋谷栄一)
各自要検討
注釈
【渋谷栄一】
各自要検討
若き人びと、 若い女房たちは、 【若き人びと悲しきことは】
:視点は命婦が辞去した後の若い女房たちの素直で率直な気持ちを語り、また一方で、そうとも決断できない北の方の複雑な心境を語る。
悲しきことはさらにも言はず、 悲しいことは言うまでもない、  
内裏わたりを朝夕にならひて、 内裏の生活を朝な夕なと馴れ親しんでいるので、  
いとさうざうしく、 たいそう物足りなく、  
主上の御ありさまなど思ひ出できこゆれば、 主上様の御様子などをお思い出し申し上げると、  
とく参りたまはむことをそそのかしきこゆれど、 早く参内なさるようにとお勧め申し上げるが、 【そそのかしきこゆれど】
:主語は若宮付きの若い女房たち。
     
「かく忌ま忌ましき身の このように忌まわしい身が 【かく忌ま忌ましき身の】
:以下「いとうしろめたう」まで北の方の心内文が後半は地の文に融合している。
「人聞き憂かるべし」は北の方の憂慮。
「後ろめたう思ひきこえて」というように地の文の「思う」を連用修飾した表現になっている。
添ひたてまつらむも、 付き添って参内申すようなのも、 【添ひたてまつらむも】
:我身が若宮にお付き添い申しての意。
いと人聞き憂かるべし、 まことに世間の聞こえが悪いであろうし、  
また、 また一方では、  
見たてまつらでしばしもあらむは、 しばしも拝さずにいることも 【見たてまつらで】
:北の方が若宮を。
いとうしろめたう」
思ひきこえたまひて、
気がかりに
お思い申されて、
 
     
すがすがともえ参らせたてまつりたまはぬなりけり。 気分よくさっぱりとは参内させなさることがおできになれないのであった。 【すがすがともえ参らせたてまつりたまはぬなりけり】
:「すがすが(清清)と」(副詞)は心境的に迷いやためらいを捨てたすっきりした状態」(小学館古語大辞典)。若宮を今回はもちろんんのこと暫く先まで参内させなかったというニュアンスである。以上で、更衣の邸を舞台とした物語は切り上げられる。
月は入り方 桐壺
第2章
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若き人びと
命婦は