枕草子 補 きたなげなるもの(能因本:旧全集152段)

女房の 枕草子
中巻中
補6
きたなげ
いやしげ

(旧)大系,新大系,新編全集=三巻本:ナシ
(旧)全集=能因本:152段
上記三巻本になく能因本のみにある段は、著者が身内本たる能因本からより広い世間の目を意識し(最終段:人のために便なき言ひ過ぐしもしつべき所々もあれば)、なかったことにして改訂したものと解する(独自)
 


 
 きたなげなるもの
 鼠のすみか。つとめて手おそく洗ふ人。白きつきはな。すす鼻しありくちご。油入るるもの。雀の子。
 暑きほどに、久しく湯浴みぬ。衣の萎えたるは、いづれもいづれもきたなげなる中に、練色の衣こそきたなけれ。