枕草子 補 いとほしげなき事(能因本:旧全集82段)

あぢきなき 枕草子
上巻中
補4
いとほしげなき事
心地よげなる

(旧)大系,新大系,新編全集=主要三巻本系列:ナシ
(旧)全集=能因本:82段
上記三巻本になく能因本のみにある段は、著者が身内本たる能因本からより広い世間の目を意識し(最終段:人のために便なき言ひ過ぐしもしつべき所々もあれば)、なかったことにして改訂したものと解する(独自)
 


 
 いとほしげなき事
 人によみて取らせたる歌のほめらるる。されど、それはよし。
 遠きありきする人の、つぎつぎ縁たづねて、文得むと言はすれば、知りたる人のがり、なほざりに書きて、やりたるに、なまいたはりなりと腹立ちて、返事も取らせで、無徳に言ひなしたる。