多久資が申しけるは、通憲入道、舞の手の中に興ある事どもを撰びて、磯の禅師といひける女に教へて舞はせけり。 白き水干に、鞘巻を差させ、烏帽子を引き入れたりければ、男舞とぞ言ひける。 禅師が娘、静と言ひける、この芸を継げり。 これ、白拍子の根元なり。 仏神の本縁を歌ふ。 その後、源光行、多くの事を作れり。 後鳥羽院の御作もあり。 亀菊に教へさせ給ひけるとぞ。