「建治、弘安のころは、祭りの日の放免の付け物に、異様なる紺の布四五反にて馬を作りて、尾、髪には灯心をして、蜘蛛の網描きたる水干に付けて、歌の心など言ひて渡りし事、常に見及び侍りしなども、興ありてしたる心地にてこそ侍りしか」と、老いたる道志どもの今日も語り侍るなり。
このごろは、付け物、年を送りて、過差殊の外になりて、よろづの重き物を多く付けて、左右の袖を人に持たせて、自らは鉢をだに持たず、息づき、苦しむ有り様、いと見苦し。