経文などの紐を結ふに、上下よりたすきに交へて、二筋の中よりわなの頭を横様に引き出す事は、常のことなり。 さやうにしたるをば、華厳院弘舜僧上、解きて直させけり。 これは、このごろやうのことなり。いとにくし。 うるはしくは、ただ、くるくると巻きて上より下へ、縄の先を挟む。 古き人にて、かやうの事知れる人になん侍りける。