吉田と申す馬乗りの申し侍るは、「馬ごとにこはきものなり。人の力争ふべからずと知るべし。乗るべき馬をば、まづよく見て、強き所、弱き所を知るべし。次に、轡、鞍の具に危き事やあると見て、心にかかる事あらば、その馬を馳すべからず。この用意を忘れざるを馬乗りとは申すなり。これ、秘蔵のことなり」と申しき。