城陸奥守泰盛は、双なき馬乗りなりけり。 馬を引き出ださせけるに、足をそろへて閾をゆらりと越ゆるを見ては、「これは勇める馬なり」とて、鞍を置きかへさせけり。 また、足をのべて閾に蹴あてぬれば、「これは鈍くしてあやまちあるべし」とて乗らざりけり。
道を知らざらむ人かばかり恐れなんや。