何事も入りさましたるぞよき。 よき人は知りたることとて、さのみ知り顔にやはいふ。 片ゐなかよりさしいでたる人こそ、よろづの道に心得たるよしの、さしいらへはすれ。 されば、世に恥づかしき方もあれど、みづからもいみじと思へるけしき、かたくななり。 よくわきまへたる道には、必ず口重く、問はぬかぎりは言はぬこそいみじけれ。