今の内裏作り出だされて、有識の人々に見せられけるに、いづくも難なしとて、すでに遷幸の日近くなりけるに、玄輝門院御覧じて、「閑院殿の櫛形の穴は、まろく、ふちもなくてぞありし」と仰せられける、いみじかりけり。 これは葉の入りて、木にてふちをしたりければ、あやまりにてなほされにけり。