これも今は昔、後朱雀院、例ならぬ御事、大事におはしましける時、後生の事、恐れ思し召しけり。それに御夢に、御堂入道殿参りて、申し給ひていはく、「丈六の仏を作れる人、子孫に於いて、更に悪道へ堕ちず。それがし多くの丈六を造り奉れり。御菩提に於いて疑い思し召すべからず」と。 これによりて明快座主に仰せ合はせられて、丈六仏を造らる。件の仏、山の護仏院に安置し奉らる。