俳 句 |
『おくのほそ道』 素龍清書原本 校訂 |
『新釈奥の細道』 |
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卯の花山、くりからが谷を越えて、 | 卯花山くりから谷を越て | |
金沢は七月中の五日なり。 | 金澤は七月中の五日也 | |
ここに大坂より通ふ商人、 | 爰に大坂よりかよふ商人 | |
何処といふ者あり。 | 何處處ハ某ノ誤リナリといふ者は一本いふ者ありトアリ | |
それが旅宿をともにす。 | それが旅宿をともにす | |
一笑といふ者は、 | 一笑といふもの一本はヲ入レタリ | |
この道に好ける名の、ほのぼの聞こえて、 | 此道にすける者のほの〴〵聞へて | |
世に知る人も侍りしに、 | 世にしる人も待しに | |
去年の冬早世したりとて、 | 去年の冬早世したりとて | |
その兄追善を催すに、 | 其兄追善をもよほすに | |
♪ 49 |
塚も動け 我が泣く声は 秋の風 | 塚も動け 我泣聲は 秋の風 |
ある草庵にいざなはれて | ある艸庵にいざなはれて | |
♪ 50 |
秋涼し 手ごとにむけや うりなすび | 秋凉し 手每にむけや 瓜茄子 |
途中吟 | 途中吟 | |
♪ 51 |
あかあかと 日はつれなくも 秋の風 | あか〳〵と 日はつれなくも 秋の風 |
小松といふ所にて | 小松といふ所にて | |
♪ 52 |
しをらしき 名や小松 吹く萩薄 | しほらしき 名や小松 吹萩薄 |