俳 句 |
『おくのほそ道』 素龍清書原本 校訂 |
『新釈奥の細道』 |
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丸岡天龍寺の長老、 | 丸岡天龍寺の長老 | |
古き因みあれば尋ぬ。 | 古きちなみあれば尋ぬ | |
また、金沢の北枝といふ者、 | 亦金澤の北枝といふもの | |
かりそめに見送りて、 | かりそめに見過て | |
この所まで慕ひ来る。 | 此所までしたひ來る | |
所々の風景過ぐさず思ひ続けて、 | 所々の風景過さす思ひつゞけて | |
をりふしあはれなる作意など聞こゆ。 | 折ふしあはれ成る作意など聞ゆ | |
今すでに別れに臨みて、 | 今既に別れにのぞみて | |
♪ 61 |
物書きて 扇引きさく なごりかな | 物かいて 扇引さく 名殘哉 |
五十丁山に入りて、永平寺を礼す。 | 五十町山に入て永平寺を禮す | |
道元禅師の御寺なり。 | 道元禪師の御寺也 | |
邦幾千里を避けて、 | 邦機千里を避て | |
かかる山陰に跡を残し給ふも、 | かゝる山陰に跡をのこし給ふも | |
貴きゆゑありとかや。 | 貴きゆへありとかや |