大和物語108段:南院のいま君といふは

こと女 大和物語
第四部
108段
常夏の枯れ
巨城が牛

登場人物

 
 ♪♀南院のいま君=右京の大夫宗于の君のむすめ
 ♀おほきおとどの内侍の督の君の御方
 兵衛の督の君=あや君

原文

 
 
 南院のいま君といふは、右京の大夫宗于の君のむすめなり。
 それ、おほきおとどの内侍の督の君の御方にさぶらひけり。
 

 それを兵衛の督の君、あや君と聞こえける時、曹司にしばしばおはしけり。
 おはし絶えにければ、常夏の枯れたるにつけて、かくなむ、
 

♪171
  かりそめに 君がふし見し 常夏の
  ねもかれにしを いかで咲きけむ

 
 となむありける。
 
 

こと女 大和物語
第四部
108段
常夏の枯れ
巨城が牛