♪季縄の少将 帝
大井に季縄の少将すみけるころ、 帝、宣ひける、 「花おもしろくなりなば、かならず御覧ぜむ」 とありけるを、おぼし忘れて、おはしまさざりけり。
されば、少将、
♪148 散りぬれば くやしきものを 大井川 岸の山吹 今日さかりなり
とありければ、 いたうあはれがりたまひて、急ぎおはしましてなむ御覧じける。