大和物語162段:また、在中将、内にさぶらふに

ひじき物 大和物語
第六部
162段
忘れ草
秋なき時

登場人物

 
 ♪♪×在中将(著者誤認定。伊勢100段:忘れ草の昔男に通説通り業平を代入しているが、その通説自体が風説以外一切事実の裏付けがない一方的みなし認定で、昔男は二条の后に近侍して歌を提供した文屋(独自))
 ♀御息所の御方(疑問ある認定。伊勢100段「あるやんごとなき人の御局より」を二条の后と認定したものだが、そう特定できるかは疑問)

原文

 
 
 また、在中将、内にさぶらふに、
 御息所の御方より、忘れ草をなむ「これはなにとかいふ」とて給へりければ、
 
 中将、
 

♪272
  忘れ草 生ふる野辺とは 見るらめど
  こはしのぶなり のちも頼まむ

 
 となむありける。
 
 おなじ草を忍ぶ草、忘れ草といへば、
 それによりなむ、よみたりける。
 
 

ひじき物 大和物語
第六部
162段
忘れ草
秋なき時