大和物語132段:おなじ帝の御時、躬恒を召して

公忠 大和物語
第五部
132段
躬恒
泣くを見るこそ

登場人物

 
 おなじ帝
 ♪♪躬恒(凡河内躬恒:百人一首29歌人)

原文

 
 
 おなじ帝の御時、
 躬恒を召して、月のいとおもしろき夜、夜遊びなどありて、
 「月を弓張りといふは、何の心ぞ。そのよしつかうまつれ」
 とおほせ給うければ、
 御階のもとにさぶらひて、つかうまつりける。
 

♪208
  照る月を 弓張りと しもいふことは
  山べをさして いればなりけり

 

 禄に大袿かづきて、また、
 

♪209
  白雲の このかたにしも おりゐるは
  天つ風こそ 吹きてきつらし

 
 

公忠 大和物語
第五部
132段
躬恒
泣くを見るこそ