大和物語45段:堤の中納言の君

ぬれごろも 大和物語
第二部
45段
子を思ふ道
平中

登場人物

 
 ♪堤の中納言の君(藤原兼輔:三十六歌仙:百人一首27歌人)
 ♀十三のみこの母御息所
 帝=先帝(醍醐天皇:全訳注)

原文

 
 
 堤の中納言の君、
 十三のみこの母御息所を、内に奉り給ひけるはじめに、
 帝はいかがおぼしめすらむなど、いとかしこく思ひなげき給ひけり。
 

 さて、帝によみて奉り給ひける。
 

♪61
  人の親は 心はやみに あらねども
  子を思ふ道に まどひぬるかな

 

 先帝、いとあはれにおぼしめしたりけり。
 

 御返しありけれど、人え知らず。
 
 

ぬれごろも 大和物語
第二部
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子を思ふ道
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