大和物語32段:亭子の帝に、右京の大夫の

見はてぬ夢 大和物語
第二部
32段
武蔵野の草
躬恒が院に

登場人物

 
 亭子の帝(宇多天皇)
 ♪♪右京の大夫(源宗于:三十六歌仙:百人一首28歌人)
 僧都の君

原文

 
 
 亭子の帝に、
 右京の大夫の詠みて奉りたりける。
 

♪44
  あはれてふ 人もあるべく むさし野の
  草とだにこそ 生ふべかりけれ

 

 また、
 

♪45
  時雨のみ 降る山里の 木の下は
  をる人からや もりすぎぬらむ

 
 とありければ、
 かへりみたまはぬ心ばへなりけり。
 
 帝、御覧じて、
 「なにごとぞ、これを心得ぬ」とて、
 僧都の君になむ見せ給ひける
 と聞きしかば、かひなくなむありし、
 と語り給ひける。
 
 

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武蔵野の草
躬恒が院に