大和物語81段:季縄少将の娘右近

宇多院の花 大和物語
第三部
81段
右近
栗駒の山

登場人物

 
 ♪♀季縄少将の娘右近(百人一首38歌人
 醍醐中宮穏子女房)
 故后の宮
 故権中納言の君
 内わたりの人

原文

 
 
 季縄少将の娘右近、
 故后の宮にさぶらひけるころ、
 
 故権中納言の君おはしける、
 頼め給ふことなどありけるを、
 宮にまゐること絶えて、里にありけるに、
 さらにとひ給はざりけり。
 

 内わたりの人来たりけるに、
 「いかにぞ。まゐり給ふや」と問ひければ、
 「常にさぶらひ給ふ」といひければ、
 御文奉りける。
 

♪115
  忘れじと 頼めし人は ありと聞く
  いひし言の葉 いづちいにけむ

 
 となむありける。
 
 

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