♪かいせう(戒仙:後撰集) 親
戒仙(かいせう)といふ人、 法師になりて山にすむ間に、あらはひなどする人のなかりければ、 親のもとに衣をなむあらひにおこせたりけるを、 いかなるをりにかありけむ、むつかりて、 「親はらからのいふをも聞かず、 法師になりぬる人は、かくうるさきこといふものか」 といへりければ、 よみてやりける。
♪38 いまはわれ いづちゆかまし 山にても 世の憂きことは なほも絶えぬか