登場人物
♀釣殿の宮(光孝天皇第八皇女:綏子内親王(? - 925年)。本段ではその邸宅)
♪♀若狭の御(未詳:旧大系、新全集。新全集はさらに「武蔵と同一人物か」とする。本段の歌が後撰集1169で武蔵と認定されることを受け。全訳注は後撰の認定を混同とする)
―(本段の主語、前段の陽成天皇。868~949)
原文
また、釣殿の宮に
若狭の御と言ひける人を召したりけるが、
またも召しなかりければ、詠みて奉りける。
♪22
数ならぬ 身におく夜の 白玉は
光見えさす ものにぞありける
と詠みて奉りければ、
見給ひて、
「あなおもしろの玉の歌よみや」
となむ宣ひける。