大和物語15段:また釣殿の宮に、若狭の御

池の玉藻 大和物語
第一部
15段
玉の歌よみ
忘れ草

登場人物

 
 ♀釣殿の宮(光孝天皇第八皇女:綏子内親王(? - 925年)。本段ではその邸宅)
 ♪♀若狭の御(未詳:旧大系、新全集。新全集はさらに「武蔵と同一人物か」とする。本段の歌が後撰集1169で武蔵と認定されることを受け。全訳注は後撰の認定を混同とする)
 ―(本段の主語、前段の陽成天皇。868~949)

原文

 
 
 また、釣殿の宮に
 若狭の御と言ひける人を召したりけるが、
 またも召しなかりければ、詠みて奉りける。
 

♪22
  数ならぬ 身におく夜の 白玉は
  光見えさす ものにぞありける

 
 と詠みて奉りければ、
 見給ひて、
 「あなおもしろの玉の歌よみや」
 となむ宣ひける。
 
 

池の玉藻 大和物語
第一部
15段
玉の歌よみ
忘れ草