目次 | |||||||||
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933 不知 |
934 不知 |
935 不知 |
936 篁 |
937 貞樹 |
938 小町 |
939 小町 |
940 不知 |
||
941 不知 |
942 不知 |
943 不知 |
944 不知 |
945 惟喬 |
946 今道 |
947 素性 |
948 不知 |
949 不知 |
950 不知 |
951 不知 |
952 不知 |
953 不知 |
954 不知 |
955 吉名 |
956 躬恒 |
957 躬恒 |
958 不知 |
959 不知 |
960 不知 |
961 篁 |
962 行平 |
963 春風 |
964 貞文 |
965 貞文 |
966 潔興 |
967 深養 |
968 伊勢 |
969 業× |
970 業× |
971 業× |
972 不知 |
973 不知 |
974 不知 |
975 不知 |
976 躬恒 |
977 躬恒 |
978 躬恒 |
979 大頼 |
980 貫之 |
981 不知 |
982 不知 |
983 喜撰 |
984 不知 |
985 遍昭 |
986 二条 |
987 不知 |
988 不知 |
989 不知 |
990 伊勢 |
991 友則 |
992 陸奥 |
993 忠房 |
994 不知 |
995 不知 |
996 不知 |
997 有季 |
998 千里 |
999 勝臣 |
1000 伊勢 |
※不知が45%(31/68)。伊勢物語とリンクが多い。986の二条は源至の娘とされるがどうか。そうとしても、伊勢との関係で二条の后を暗示する配置として用いたのではないだろうか(なお、源至は伊勢物語で一度だけ、しでかす役で39段に出てくる)。 |
0933 | |
---|---|
詞書 | 題しらす |
作者 | 読人しらす(よみ人しらす) |
原文 |
世中は なにかつねなる あすかかは きのふのふちそ けふはせになる |
かな |
よのなかは なにかつねなる あすかかは きのふのふちそ けふはせになる |
0934 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | 読人しらす(よみ人しらす) |
原文 |
いく世しも あらしわか身を なそもかく あまのかるもに 思ひみたるる |
かな |
いくよしも あらしわかみを なそもかく あまのかるもに おもひみたるる |
0935 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | 読人しらす(よみ人しらす) |
原文 |
雁のくる 峰の朝霧 はれすのみ 思ひつきせぬ 世中のうさ |
かな |
かりのくる みねのあさきり はれすのみ おもひつきせぬ よのなかのうさ |
0936 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | 小野たかむらの朝臣(小野篁) |
原文 |
しかりとて そむかれなくに 事しあれは まつなけかれぬ あなう世中 |
かな |
しかりとて そむかれなくに ことしあれは まつなけかれぬ あなうよのなか |
0937 | |
詞書 |
かひのかみに侍りける時、 京へまかりのほりける人につかはしける |
作者 | をののさたき(小野貞樹) |
原文 |
宮こ人 いかかととはは 山たかみ はれぬくもゐに わふとこたへよ |
かな |
みやこひと いかかととはは やまたかみ はれぬくもゐに わふとこたへよ |
0938 | |
詞書 |
文屋のやすひて、みかはのそうになりて、 あかた見にはえいてたたしや といひやれりける返事によめる |
作者 | 小野小町 |
原文 |
わひぬれは 身をうき草の ねをたえて さそふ水あらは いなむとそ思ふ |
かな |
わひぬれは みをうきくさの ねをたえて さそふみつあらは いなむとそおもふ |
0939 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | 小野小町 |
原文 |
あはれてふ 事こそうたて 世中を 思ひはなれぬ ほたしなりけれ |
かな |
あはれてふ ことこそうたて よのなかを おもひはなれぬ ほたしなりけれ |
0940 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
あはれてふ 事のはことに おくつゆは 昔をこふる 涙なりけり |
かな |
あはれてふ ことのはことに おくつゆは むかしをこふる なみたなりけり |
0941 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
世中の うきもつらきも つけなくに まつしる物は なみたなりけり |
かな |
よのなかの うきもつらきも つけなくに まつしるものは なみたなりけり |
0942 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
世中は 夢かうつつか うつつとも 夢ともしらす 有りてなけれは |
かな |
よのなかは ゆめかうつつか うつつとも ゆめともしらす ありてなけれは |
0943 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
よのなかに いつらわか身の ありてなし あはれとやいはむ あなうとやいはむ |
かな |
よのなかに いつらわかみの ありてなし あはれとやいはむ あなうとやいはむ |
0944 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
山里は 物の惨慄き 事こそあれ 世のうきよりは すみよかりけり |
かな |
やまさとは もののさひしき ことこそあれ よのうきよりは すみよかりけり |
0945 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | これたかのみこ(惟喬親王) |
原文 |
白雲の たえすたなひく 岑にたに すめはすみぬる 世にこそ有りけれ |
かな |
しらくもの たえすたなひく みねにたに すめはすみぬる よにこそありけれ |
0946 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | ふるのいまみち(布留今道) |
原文 |
しりにけむ ききてもいとへ 世中は 浪のさわきに 風そしくめる |
かな |
しりにけむ ききてもいとへ よのなかは なみのさわきに かせそしくめる |
0947 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | そせい(素性法師) |
原文 |
いつこにか 世をはいとはむ 心こそ のにも山にも まとふへらなれ |
かな |
いつこにか よをはいとはむ こころこそ のにもやまにも まとふへらなれ |
0948 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
世中は 昔よりやは うかりけむ わか身ひとつの ためになれるか |
かな |
よのなかは むかしよりやは うかりけむ わかみひとつの ためになれるか |
0949 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
世中を いとふ山への 草木とや あなうの花の 色にいてにけむ |
かな |
よのなかを いとふやまへの くさきとや あなうのはなの いろにいてにけむ |
0950 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
みよしのの 山のあなたに やともかな 世のうき時の かくれかにせむ |
かな |
みよしのの やまのあなたに やともかな よのうきときの かくれかにせむ |
0951 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
世にふれは うさこそまされ みよしのの いはのかけみち ふみならしてむ |
かな |
よにふれは うさこそまされ みよしのの いはのかけみち ふみならしてむ |
0952 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
いかならむ 巌の中に すまはかは 世のうき事の きこえこさらむ |
かな |
いかならむ いはほのうちに すまはかは よのうきことの きこえこさらむ |
0953 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
葦引の 山のまにまに かくれなむ うき世中は あるかひもなし |
かな |
あしひきの やまのまにまに かくれなむ うきよのなかは あるかひもなし |
0954 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
世中の うけくにあきぬ 奥山の このはにふれる 雪やけなまし |
かな |
よのなかの うけくにあきぬ おくやまの このはにふれる ゆきやけなまし |
0955 | |
詞書 | おなしもしなきうた |
作者 | もののへのよしな(物部吉名、詳細不明) |
原文 |
よのうきめ 見えぬ山ちへ いらむには おもふ人こそ ほたしなりけれ |
かな |
よのうきめ みえぬやまちへ いらむには おもふひとこそ ほたしなりけれ |
0956 | |
詞書 | 山のほうしのもとへつかはしける |
作者 | 凡河内みつね(凡河内躬恒) |
原文 |
世をすてて 山にいる人 山にても 猶うき時は いつちゆくらむ |
かな |
よをすてて やまにいるひと やまにても なほうきときは いつちゆくらむ |
0957 | |
詞書 | 物思ひける時いときなきこを見てよめる |
作者 | 凡河内みつね(凡河内躬恒) |
原文 |
今更に なにおひいつらむ 竹のこの うきふししけき 世とはしらすや |
かな |
いまさらに なにおひいつらむ たけのこの うきふししけき よとはしらすや |
0958 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
世にふれは 事のはしけき くれ竹の うきふしことに 鶯そなく |
かな |
よにふれは ことのはしけき くれたけの うきふしことに うくひすそなく |
0959 | |
詞書 |
題しらす/ある人のいはく、 高津のみこの歌なり |
作者 | よみ人しらす(一説、高津のみこ) |
原文 |
木にもあらす 草にもあらぬ 竹のよの はしにわか身は なりぬへらなり |
かな |
きにもあらす くさにもあらぬ たけのよの はしにわかみは なりぬへらなり |
0960 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
わか身から うき世中と なつけつつ 人のためさへ かなしかるらむ |
かな |
わかみから うきよのなかと なけきつつ ひとのためさへ かなしかるらむ |
0961 | |
詞書 | おきのくにになかされて侍りける時によめる |
作者 | たかむらの朝臣(小野篁) |
原文 |
思ひきや ひなのわかれに おとろへて あまのなはたき いさりせむとは |
かな |
おもひきや ひなのわかれに おとろへて あまのなはたき いさりせむとは |
0962 | |
詞書 |
田むらの御時に、事にあたりて つのくにのすまといふ所にこもり侍りけるに、宮のうちに侍りける人につかはしける |
作者 | 在原行平朝臣 |
原文 |
わくらはに とふ人あらは すまの浦に もしほたれつつ わふとこたへよ |
かな |
わくらはに とふひとあらは すまのうらに もしほたれつつ わふとこたへよ |
0963 | |
詞書 |
左近将監とけて侍りける時に、 女のとふらひにおこせたりける返事によみてつかはしける |
作者 | をののはるかせ(小野春風) |
原文 |
あまひこの おとつれしとそ 今は思ふ 我か人かと 身をたとるよに |
かな |
あまひこの おとつれしとそ いまはおもふ われかひとかと みをたとるよに |
0964 | |
詞書 | つかさとけて侍りける時よめる |
作者 | 平さたふん(平貞文) |
原文 |
うき世には かとさせりとも 見えなくに なとかわか身の いてかてにする |
かな |
うきよには かとさせりとも みえなくに なとかわかみの いてかてにする |
0965 | |
詞書 | つかさとけて侍りける時よめる |
作者 | 平さたふん(平貞文) |
原文 |
有りはてぬ いのちまつまの ほとはかり うきことしけく おもはすもかな |
かな |
ありはてぬ いのちまつまの ほとはかり うきことしけく おもはすもかな |
0966 | |
詞書 |
みこの宮のたちはきに侍りけるを、 宮つかへつかうまつらすとて とけて侍りける時によめる |
作者 | みやちのきよき(宮道潔興、みやじのきよき) |
原文 |
つくはねの この本ことに 立ちそよる 春のみ山の かけをこひつつ |
かな |
つくはねの このもとことに たちそよる はるのみやまの かけをこひつつ |
0967 | |
詞書 |
時なりける人の にはかに時なくなりてなけくを見て、 みつからのなけきもなくよろこひもなきことを思ひてよめる |
作者 | 清原深養父 |
原文 |
ひかりなき 谷には春も よそなれは さきてとくちる 物思ひもなし |
かな |
ひかりなき たににははるも よそなれは さきてとくちる ものおもひもなし |
0968 | |
詞書 |
かつらに侍りける時に、 七条の中宮のとはせ給へりける御返事に たてまつれりける |
作者 | 伊勢(伊勢の御) |
原文 |
久方の 中におひたる さとなれは ひかりをのみそ たのむへらなる |
かな |
ひさかたの うちにおひたる さとなれは ひかりをのみそ たのむへらなる |
0969 | |
詞書 |
紀のとしさたか 阿波のすけにまかりける時に、 むまのはなむけせむとて けふといひおくれりける時に、 ここかしこにまかりありきて 夜ふくるまて見えさりけれはつかはしける |
作者 | なりひらの朝臣(在原業平)(※問題あり) |
原文 |
今そしる くるしき物と 人またむ さとをはかれす とふへかりけり |
かな |
いまそしる くるしきものと ひとまたむ さとをはかれす とふへかりけり |
コメ |
出典:伊勢48段(人待たむ里)。 「むかし、男ありけり。馬のはなむけせむとて、人を待ちけるに、来ざりければ、 『今ぞ知る 苦しきものと人待たむ 里をば離れず 訪ふべかりけり』」 |
0970 | |
詞書 |
惟喬のみこのもとにまかりかよひけるを、 かしらおろしてをのといふ所に侍りけるに、 正月にとふらはむとてまかりたりけるに、 ひえの山のふもとなりけれは 雪いとふかかりけり、 しひてかのむろにまかりいたりて をかみけるに、つれつれとして いと物かなしくて、 かへりまうてきてよみておくりける |
作者 | なりひらの朝臣(在原業平)(※問題あり) |
原文 |
わすれては 夢かとそ思ふ おもひきや 雪ふみわけて 君を見むとは |
かな |
わすれては ゆめかとそおもふ おもひきや ゆきふみわけて きみをみむとは |
コメ |
出典:伊勢83段(小野(の雪))。 「正月にをがみたてまつらむとて、 小野にまうでたるに 比叡の山のふもとなれば、雪いとたかし。 しひて御室にまうでてをがみたてまつるに、 つれづれといとものがなしくて おはしましければ、やゝ久しくさぶらひて、 いにしへのことなど思ひ出で聞えけり。 さてもさぶらひてしがなと思へど、 公事どもありければ、えさぶらはで、 夕暮にかへるとて、 『忘れては 夢かぞとおもふ 思ひきや 雪ふみわけて 君を見むとは』 とてなむ泣く泣く来にける。」 |
0971 | |
詞書 |
深草のさとにすみ侍りて、 京へまうてくとてそこなりける人に よみておくりける |
作者 | なりひらの朝臣(在原業平)(※問題あり) |
原文 |
年をへて すみこしさとを いてていなは いとと深草 のとやなりなむ |
かな |
としをへて すみこしさとを いてていなは いととふかくさ のとやなりなむ |
コメ |
出典:伊勢123段(深草)。 「むかし、男ありけり。深草に住みける女を、やうやうあきがたにや思ひけむ、 かゝる歌をよみけり。 『年を経て すみこし里を 出でていなば いとゞ深草 野とやなりなむ』」 |
0972 | |
詞書 | 返し |
作者 | よみ人しらす(※) |
原文 |
野とならは うつらとなきて 年はへむ かりにたにやは 君かこさらむ |
かな |
のとならは うつらとなきて としはへむ かりにたにやは きみかこさらむ |
コメ |
出典:伊勢123段(深草)。 「女、かへし、 『野とならば 鶉となりて 鳴きをらむ 狩だにやは 君はこざらむ』 とよめるけるにめでゝ、 ゆかむと思ふ心なくなりにけり。」 |
0973 | |
詞書 |
題しらす /この歌は、ある人、 むかしをとこありけるをうなの、 をとことはすなりにけれは、 なにはなるみつのてらにまかりて あまになりて、 よみてをとこにつかはせりける となむいへる |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
我を君 なにはの浦に 有りしかは うきめをみつの あまとなりにき |
かな |
われをきみ なにはのうらに ありしかは うきめをみつの あまとなりにき |
0974 | |
詞書 | 返し |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
なにはかた うらむへきまも おもほえす いつこをみつの あまとかはなる |
かな |
なにはかた うらむへきまも おもほえす いつこをみつの あまとかはなる |
0975 | |
詞書 | 返し |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
今更に とふへき人も おもほえす やへむくらして かとさせりてへ |
かな |
いまさらに とふへきひとも おもほえす やへむくらして かとさせりてへ |
0976 | |
詞書 |
ともたちのひさしうまうてこさりけるもとに よみてつかはしける |
作者 | みつね(凡河内躬恒) |
原文 |
水のおもに おふるさ月の うき草の うき事あれや ねをたえてこぬ |
かな |
みつのおもに おふるさつきの うきくさの うきことあれや ねをたえてこぬ |
0977 | |
詞書 |
人をとはてひさしうありけるをりに、 あひうらみけれはよめる |
作者 | みつね(凡河内躬恒) |
原文 |
身をすてて ゆきやしにけむ 思ふより 外なる物は 心なりけり |
かな |
みをすてて ゆきやしにけむ おもふより ほかなるものは こころなりけり |
0978 | |
詞書 |
むねをかのおほよりかこしより まうてきたりける時に、 雪のふりけるを見て おのかおもひはこのゆきのことく なむつもれるといひけるをりによめる |
作者 | みつね(凡河内躬恒) |
原文 |
君か思ひ 雪とつもらは たのまれす 春よりのちは あらしとおもへは |
かな |
きみかおもひ ゆきとつもらは たのまれす はるよりのちは あらしとおもへは |
0979 | |
詞書 | 返し |
作者 | 宗岳大頼 |
原文 |
君をのみ 思ひこしちの しら山は いつかは雪の きゆる時ある |
かな |
きみをのみ おもひこしちの しらやまは いつかはゆきの きゆるときある |
0980 | |
詞書 | こしなりける人につかはしける |
作者 | きのつらゆき(紀貫之) |
原文 |
思ひやる こしの白山 しらねとも ひと夜も夢に こえぬよそなき |
かな |
おもひやる こしのしらやま しらねとも ひとよもゆめに こえぬよそなき |
0981 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
いさここに わか世はへなむ 菅原や 伏見の里の あれまくもをし |
かな |
いさここに わかよはへなむ すかはらや ふしみのさとの あれまくもをし |
0982 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
わかいほは みわの山もと こひしくは とふらひきませ すきたてるかと |
かな |
わかいほは みわのやまもと こひしくは とふらひきませ すきたてるかと |
0983 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | きせんほうし |
原文 |
わかいほは 宮このたつみ しかそすむ 世をうち山と 人はいふなり |
かな |
わかいほは みやこのたつみ しかそすむ よをうちやまと ひとはいふなり |
コメ |
百人一首8。 わがいほは みやこのたつみ しかぞすむ よをうぢやまと ひとはいふなり /わが庵は 都のたつみ しかぞ住む 世をうぢ山と 人はいふなり |
0984 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
あれにけり あはれいくよの やとなれや すみけむ人の おとつれもせぬ |
かな |
あれにけり あはれいくよの やとなれや すみけむひとの おとつれもせぬ |
0985 | |
詞書 |
ならへまかりける時に、あれたる家に 女の琴ひきけるをききてよみていれたりける |
作者 | よしみねのむねさた(良岑宗貞、遍昭) |
原文 |
わひひとの すむへきやとと 見るなへに 歎きくははる ことのねそする |
かな |
わひひとの すむへきやとと みるなへに なけきくははる ことのねそする |
0986 | |
詞書 |
はつせにまうつる道に ならの京にやとれりける時よめる |
作者 | 二条(源至の娘とされるが詳細不明) |
原文 |
人ふるす さとをいとひて こしかとも ならの宮こも うきななりけり |
かな |
ひとふるす さとをいとひて こしかとも ならのみやこも うきななりけり |
0987 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
世中は いつれかさして わかならむ 行きとまるをそ やととさたむる |
かな |
よのなかは いつれかさして わかならむ ゆきとまるをそ やととさたむる |
0988 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
相坂の 嵐のかせは さむけれと ゆくへしらねは わひつつそぬる |
かな |
あふさかの あらしのかせは さむけれと ゆくへしらねは わひつつそぬる |
0989 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
風のうへに ありかさためぬ ちりの身は ゆくへもしらす なりぬへらなり |
かな |
かせのうへに ありかさためぬ ちりのみは ゆくへもしらす なりぬへらなり |
0990 | |
詞書 | 家をうりてよめる |
作者 | 伊勢(伊勢の御) |
原文 |
あすかかは ふちにもあらぬ わかやとも せにかはりゆく 物にそ有りける |
かな |
あすかかは ふちにもあらぬ わかやとも せにかはりゆく ものにそありける |
0991 | |
詞書 |
つくしに侍りける時に まかりかよひつつこうちける人のもとに、 京にかへりまうてきてつかはしける |
作者 | きのとものり(紀友則) |
原文 |
ふるさとは 見しこともあらす をののえの くちし所そ こひしかりける |
かな |
ふるさとは みしこともあらす をののえの くちしところそ こひしかりける |
0992 | |
詞書 |
女ともたちと物かたりして、 わかれてのちにつかはしける |
作者 | みちのく |
原文 |
あかさりし 袖のなかにや いりにけむ わかたましひの なき心ちする |
かな |
あかさりし そてのなかにや いりにけむ わかたましひの なきここちする |
0993 | |
詞書 |
寛平御時に もろこしのはう官にめされて侍りける時に、 東宮のさふらひにて をのこともさけたうへける ついてによみ侍りける |
作者 | ふちはらのたたふさ(藤原忠房) |
原文 |
なよ竹の よなかきうへに はつしもの おきゐて物を 思ふころかな |
かな |
なよたけの よなかきうへに はつしもの おきゐてものを おもふころかな |
0994 | |
詞書 |
題しらす /ある人、この歌は、むかしやまとのくになりける人のむすめにある人すみわたりけり、 この女おやもなくなりて家もわるくなりゆくあひたに、 このをとこ、かふちのくにに人をあひしりてかよひつつ、かれやうにのみなりゆきけり、 さりけれともつらけなるけしきも見えて、 かふちへいくことに、をとこの心のことくにしつついたしやりけれは、 あやしと思ひて、もしなきまにこと心もやあるとうたかひて、 月のおもしろかりける夜、かふちへいくまねにてせんさいのなかにかくれて見けれは、 夜ふくるまてことをかきならしつつ、うちなけきてこの歌をよみてねにけれは、 これをききて、それより又ほかへもまからすなりにけりとなむいひつたへたる |
作者 | よみ人しらす(※) |
原文 |
風ふけは おきつ白浪 たつた山 よはにや君か ひとりこゆらむ |
かな |
かせふけは おきつしらなみ たつたやま よはにやきみか ひとりこゆらむ |
コメ |
出典:伊勢23段(筒井筒)。 「この女いとようけさじて、うちながめて、 『風吹けば 沖つ白浪 龍田山 夜半にや君が ひとり越ゆらむ』」 この歌は詞書が古今最長。しかも明らかに突出している。 そしてこの配分は、やはり突出して100回きっかり登場し配置を操作した貫之により意図されている。 したがって、極めて特別な歌。源氏物語でいう龍田姫とは、この歌の女子のこと。織姫(衣通姫=小町)とセットにされているので確実。 というのも、この伊勢23段の龍田姫・筒井筒=梓弓の女が果てて、直後に小町の歌が同25段で出現するからである。 ここの詞書とは、大和、女親がなくなり、河内に男が行くこと、前栽の中に隠れること、などの特有事情で符合。 月のおもしろかりける夜など、伊勢にはない付加があるが、古今が伊勢の要約と解する他ない。 文章を参照せず符合しうる内容ではなく、古今の詞書でこの歌の次に多いのが東下りの歌(いずれも伊勢の象徴的な話とされる)、その内容は伊勢の主人公・昔男の馴れ初め話。 こうした一連の事情から伊勢が出典以外ない。そして、伊勢の実力を超えて扱われる和歌の本は、事実上存在しない。 その一例が、「伊勢の海の 深き心を たどらずて」とする源氏物語の描写。これは直前に「伊勢物語」と明示して詠まれた歌。 |
0995 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
たかみそき ゆふつけ鳥か 唐衣 たつたの山に をりはへてなく |
かな |
たかみそき ゆふつけとりか からころも たつたのやまに をりはへてなく |
0996 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
わすられむ 時しのへとそ 浜千鳥 ゆくへもしらぬ あとをととむる |
かな |
わすられむ ときしのへとそ はまちとり ゆくへもしらぬ あとをととむる |
0997 | |
詞書 |
貞観御時、 万葉集はいつはかりつくれるそと とはせ給ひけれはよみてたてまつりける |
作者 | 文屋ありすゑ(文屋有季?詳細不明。『古今和歌集目録』では有材) |
原文 |
神な月 時雨ふりおける ならのはの なにおふ宮の ふることそこれ |
かな |
かみなつき しくれふりおける ならのはの なにおふみやの ふることそこれ |
0998 | |
詞書 |
寛平御時 歌たてまつりけるついてにたてまつりける |
作者 | 大江千里 |
原文 |
あしたつの ひとりおくれて なくこゑは 雲のうへまて きこえつかなむ |
かな |
あしたつの ひとりおくれて なくこゑは くものうへまて きこえつかなむ |
0999 | |
詞書 |
寛平御時 歌たてまつりけるついてにたてまつりける |
作者 | ふちはらのかちおむ(藤原勝臣) |
原文 |
ひとしれす 思ふ心は 春霞 たちいててきみか めにも見えなむ |
かな |
ひとしれす おもふこころは はるかすみ たちいててきみか めにもみえなむ |
1000 | |
詞書 |
歌めしける時にたてまつるとてよみて、 おくにかきつけてたてまつりける |
作者 | 伊勢(伊勢の御) |
原文 |
山河の おとにのみきく ももしきを 身をはやなから 見るよしもかな |
かな |
やまかはの おとにのみきく ももしきを みをはやなから みるよしもかな |