目次 | |||||||||
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616 業× |
617 敏行 |
618 業× |
619 不知 |
620 不知 |
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621 柿? |
622 業× |
623 小町 |
624 宗于 |
625 忠岑 |
626 元方 |
627 不知 |
628 忠岑 |
629 有輔 |
630 不知 |
631 不知 |
632 業× |
633 貫之 |
634 不知 |
635 小町 |
636 躬恒 |
637 不知 |
638 国経 |
639 敏行 |
640 寵 |
641 不知 |
642 不知 |
643 千里 |
644 業× |
645 不知 |
646 業× |
647 不知 |
648 不知 |
649 不知 |
650 不知 |
651 不知 |
652 不知 |
653 春風 |
654 不知 |
655 清樹 |
656 小町 |
657 小町 |
658 小町 |
659 不知 |
660 不知 |
661 友則 |
662 躬恒 |
663 躬恒 |
664 不知 |
665 深養 |
666 貞文 |
667 友則 |
668 友則 |
669 不知 |
670 貞文 |
671 柿? |
672 不知 |
673 不知 |
674 不知 |
675 不知 |
676 伊勢 |
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※この段では(業)が大量投入される。内容は全て伊勢物語。それが先頭の3つ(あるいは末尾と対称の6つ)の配置に示される。 |
0616 | |
---|---|
詞書 |
やよひのついたちより しのひに人にものらいひてのちに、 雨のそほふりけるによみてつかはしける |
作者 | 在原業平朝臣(※問題あり) |
原文 |
おきもせす ねもせてよるを あかしては 春の物とて なかめくらしつ |
かな |
おきもせす ねもせてよるを あかしては はるのものとて なかめくらしつ |
コメ |
出典:伊勢2段(西の京)。 「それをかのまめ男、うち物語らひて、 帰り来て、いかゞ思ひけむ、 時はやよひのついたち、 雨そほふるにやりける。 『起きもせず 寝もせで夜を 明かしては 春のものとて 眺め暮しつ』」 |
0617 | |
詞書 | なりひらの朝臣(※問題あり)の家に侍りける女のもとによみてつかはしける |
作者 | としゆきの朝臣(藤原敏行) |
原文 |
つれつれの なかめにまさる 涙河 袖のみぬれて あふよしもなし |
かな |
つれつれの なかめにまさる なみたかは そてのみぬれて あふよしもなし |
コメ |
出典:伊勢107段(身を知る雨)。 「むかし、あてなる男ありけり。 その男のもとなりける人を、内記にありける藤原の敏行といふ人よばひけり。 されど若ければ、 文もをさをさしからず、言葉もいひ知らず、いはんや歌はよまざりければ、 かのあれじなる人、案を書きてかゝせてやりけり。めでまどひにけり。 さて男のよめる、 『つれづれの ながめにまさる 涙川 袖のみひぢて 逢ふよしもなし』」 |
0618 | |
詞書 | かの女にかはりて返しによめる |
作者 | なりひらの朝臣(在原業平)(※問題あり) |
原文 |
あさみこそ 袖はひつらめ 涙河 身さへ流ると きかはたのまむ |
かな |
あさみこそ そてはひつらめ なみたかは みさへなかると きかはたのまむ |
コメ |
出典:伊勢107段(身を知る雨)。 「(上の歌に続けて)かへし、 れいの男、女にかはりて、 『浅みこそ 袖はひづらめ 涙川 身さへながると 聞かばたのまむ』」 |
0619 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
よるへなみ 身をこそとほく へたてつれ 心は君か 影となりにき |
かな |
よるへなみ みをこそとほく へたてつれ こころはきみか かけとなりにき |
0620 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす(※) |
原文 |
いたつらに 行きてはきぬる ものゆゑに 見まくほしさに いさなはれつつ |
かな |
いたつらに ゆきてはきぬる ものゆゑに みまくほしさに いさなはれつつ |
コメ |
出典:伊勢65段(在原なりける男)。 「男は女しあはねば、かくしありきつゝ 人の国にありきてかくうたふ。 『いたづらに 行きては来ぬる ものゆゑに 見まくほしさに いざなはれつゝ』」 |
0621 | |
詞書 |
題しらす/この歌は、ある人のいはく、 柿本人麿か歌なり |
作者 | よみ人しらす(一説、柿本人麻呂) |
原文 |
あはぬ夜の ふる白雪と つもりなは 我さへともに けぬへきものを |
かな |
あはぬよの ふるしらゆきと つもりなは われさへともに けぬへきものを |
0622 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | なりひらの朝臣(在原業平)(※問題あり) |
原文 |
秋ののに ささわけしあさの 袖よりも あはてこしよそ ひちまさりける |
かな |
あきののに ささわけしあさの そてよりも あはてこしよそ ひちまさりける |
コメ |
出典:伊勢25段(逢はで寝る夜)。 「むかし、男ありけり。 あはじともいはざりける女の、 さすがなりけるがもとにいひやりける。 『秋の野に 笹分けし 朝の袖より も あはで寝る 夜ぞ ひぢまさりける』」 |
0623 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | をののこまち(小野小町) |
原文 |
見るめなき わか身をうらと しらねはや かれなてあまの あしたゆくくる |
かな |
みるめなき わかみをうらと しらねはや かれなてあまの あしたゆくくる |
コメ |
出典:伊勢25段(逢はで寝る夜)。 「(上の歌のようなものに続け) 色好みなる女、返し、 『みるめなき わが身を浦と 知らねばや 離れなで海人の 足たゆく来る』」 |
0624 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | 源むねゆきの朝臣(源宗于) |
原文 |
あはすして こよひあけなは 春の日の 長くや人を つらしと思はむ |
かな |
あはすして こよひあけなは はるのひの なかくやひとを つらしとおもはむ |
0625 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | みふのたたみね(壬生忠岑) |
原文 |
有あけの つれなく見えし 別より 暁はかり うき物はなし |
かな |
ありあけの つれなくみえし わかれより あかつきはかり うきものはなし |
コメ |
百人一首30。 有明の つれなく見えし 別れより 暁ばかり 憂きものはなし |
0626 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | 在原元方 |
原文 |
逢ふ事の なきさにしよる 浪なれは 怨みてのみそ 立帰りける |
かな |
あふことの なきさにしよる なみなれは うらみてのみそ たちかへりける |
0627 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
かねてより 風にさきたつ 浪なれや 逢ふ事なきに またき立つらむ |
かな |
かねてより かせにさきたつ なみなれや あふことなきに またきたつらむ |
0628 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | たたみね(壬生忠岑) |
原文 |
みちのくに 有りといふなる なとり河 なきなとりては くるしかりけり |
かな |
みちのくに ありといふなる なとりかは なきなとりては くるしかりけり |
0629 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | みはるのありすけ(御春有輔) |
原文 |
あやなくて またきなきなの たつた河 わたらてやまむ 物ならなくに |
かな |
あやなくて またきなきなの たつたかは わたらてやまむ ものならなくに |
0630 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | もとかた(在原元方) |
原文 |
人はいさ 我はなきなの をしけれは 昔も今も しらすとをいはむ |
かな |
ひとはいさ われはなきなの をしけれは むかしもいまも しらすとをいはむ |
0631 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
こりすまに 又もなきなは たちぬへし 人にくからぬ 世にしすまへは |
かな |
こりすまに またもなきなは たちぬへし ひとにくからぬ よにしすまへは |
0632 | |
詞書 |
ひむかしの五条わたりに 人をしりおきてまかりかよひけり、 しのひなる所なりけれはかとよりしもえいらてかきのくつれよりかよひけるを、 たひかさなりけれはあるしききつけて かのみちに夜ことに人をふせてまもらすれは、 いきけれとえあはてのみかへりて よみてやりける |
作者 | なりひらの朝臣(在原業平)(※問題あり) |
原文 |
ひとしれぬ わかかよひちの 関守は よひよひことに うちもねななむ |
かな |
ひとしれぬ わかかよひちの せきもりは よひよひことに うちもねななむ |
コメ |
出典:伊勢5段(関守・築土の崩れ)。 「むかし、男ありけり。 ひんがしの五条わたりに いと忍びていきけり。 みそかなる所なれば、門よりもえ入らで、 わらべのふみあけたる築泥のくづれより、 通ひけり。…(略)… 『人知れぬ わが通ひ路の 関守は 宵々ごとに うちも寝ななむ』」 |
0633 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | つらゆき(紀貫之) |
原文 |
しのふれと こひしき時は あしひきの 山より月の いててこそくれ |
かな |
しのふれと こひしきときは あしひきの やまよりつきの いててこそくれ |
0634 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
こひこひて まれにこよひそ 相坂の ゆふつけ鳥は なかすもあらなむ |
かな |
こひこひて まれにこよひそ あふさかの ゆふつけとりは なかすもあらなむ |
0635 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | をののこまち(小野小町) |
原文 |
秋の夜も 名のみなりけり あふといへは 事そともなく あけぬるものを |
かな |
あきのよも なのみなりけり あふといへは ことそともなく あけぬるものを |
0636 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | 凡河内みつね(凡河内躬恒) |
原文 |
なかしとも 思ひそはてぬ 昔より 逢ふ人からの 秋のよなれは |
かな |
なかしとも おもひそはてぬ むかしより あふひとからの あきのよなれは |
0637 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
しののめの ほからほからと あけゆけは おのかきぬきぬ なるそかなしき |
かな |
しののめの ほからほからと あけゆけは おのかきぬきぬ なるそかなしき |
0638 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | 藤原国経朝臣 |
原文 |
曙ぬとて 今はの心 つくからに なといひしらぬ 思ひそふらむ |
かな |
あけぬとて いまはのこころ つくからに なといひしらぬ おもひそふらむ |
0639 | |
詞書 | 寛平御時きさいの宮の歌合のうた |
作者 | としゆきの朝臣(藤原敏行) |
原文 |
あけぬとて かへる道には こきたれて 雨も涙も ふりそほちつつ |
かな |
あけぬとて かへるみちには こきたれて あめもなみたも ふりそほちつつ |
0640 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | 寵(※うつく、と読み、源精の娘ともされるが、詳細不明) |
原文 |
しののめの 別ををしみ 我そまつ 鳥よりさきに 鳴きはしめつる |
かな |
しののめの わかれををしみ われそまつ とりよりさきに なきはしめつる |
0641 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
ほとときす 夢かうつつか あさつゆの おきて別れし 暁のこゑ |
かな |
ほとときす ゆめかうつつか あさつゆの おきてわかれし あかつきのこゑ |
0642 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
玉匣 あけは君かな たちぬへみ 夜ふかくこしを 人見けむかも |
かな |
たまくしけ あけはきみかな たちぬへみ よふかくこしを ひとみけむかも |
0643 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | 大江千里 |
原文 |
けさはしも おきけむ方も しらさりつ 思ひいつるそ きえてかなしき |
かな |
けさはしも おきけむかたも しらさりつ おもひいつるそ きえてかなしき |
0644 | |
詞書 | 人にあひてあしたによみてつかはしける |
作者 | なりひらの朝臣(在原業平)(※問題あり) |
原文 |
ねぬる夜の 夢をはかなみ まとろめは いやはかなにも なりまさるかな |
かな |
ねぬるよの ゆめをはかなみ まとろめは いやはかなにも なりまさるかな |
コメ |
出典:伊勢103段(寝ぬる夜)。 「むかし、男ありけり。 いとまめにじちようにて、 あだなる心なかりけり。 深草のみかどになむつかうまつりける。 心あやまりやしたりけむ、みこたちの使ひ給ひける人をあひいへり。さて、 『寝ぬる夜の 夢をはかなみ まどろめば いやはかなにも なりまさるかな』 となむよみてやりける。 さる歌のきたなげさよ。」 |
0645 | |
詞書 |
業平朝臣(※問題あり)の 伊勢のくににまかりたりける時、 斉宮なりける人にいとみそかにあひて 又のあしたに人やるすへなくて 思ひをりけるあひたに、 女のもとよりおこせたりける |
作者 | よみ人しらす(※) |
原文 |
きみやこし 我や行きけむ おもほえす 夢かうつつか ねてかさめてか |
かな |
きみやこし われやゆきけむ おもほえす ゆめかうつつか ねてかさめてか |
コメ |
出典:伊勢69段(狩の使)。 「むかし、男ありけり。 その男伊勢の国に、狩の使いにいきけるに、 かの伊勢の斎宮なりける人の親、 「常の使よりは、この人、よくいたはれ」 といひやれりければ、親のことなりければ、いと懇にいたはりけり。…(略)… 月のおぼろなるに、小さき童を先に立てて、人立てり。男いとうれしくて我が寝る所に、率ていり、 子一つより丑三つまであるに、まだ何事も語らはぬに、帰りにけり。男いと悲しくて、寝ずなりにけり。…(略)… 明けはなれてしばしあるに、女のもとより言葉はなくて、女のもとより言葉はなくて、 『君やこし 我や行きけむ おもほえず 夢かうつゝか 寝てか醒めてか』」 |
0646 | |
詞書 | 返し |
作者 | なりひらの朝臣(在原業平)(※問題あり) |
原文 |
かきくらす 心のやみに 迷ひにき 夢うつつとは 世人さためよ |
かな |
かきくらす こころのやみに まよひにき ゆめうつつとは よひとさためよ |
コメ |
出典:伊勢69段(狩の使)。 「(返し)男いといたう泣きてよめる。 『かきくらす 心の闇に まどひにき 夢現とは こよひ定めよ』 とよみてやりて、狩に出でぬ。」 |
0647 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
むはたまの やみのうつつは さたかなる 夢にいくらも まさらさりけり |
かな |
うはたまの やみのうつつは さたかなる ゆめにいくらも まさらさりけり |
0648 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
さ夜ふけて あまのと渡る 月影に あかすも君を あひ見つるかな |
かな |
さよふけて あまのとわたる つきかけに あかすもきみを あひみつるかな |
0649 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
君か名も わかなもたてし なにはなる みつともいふな あひきともいはし |
かな |
きみかなも わかなもたてし なにはなる みつともいふな あひきともいはし |
0650 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
名とり河 せせのむもれ木 あらはれは 如何にせむとか あひ見そめけむ |
かな |
なとりかは せせのうもれき あらはれは いかにせむとか あひみそめけむ |
0651 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
吉野河 水の心は はやくとも たきのおとには たてしとそ思ふ |
かな |
よしのかは みつのこころは はやくとも たきのおとには たてしとそおもふ |
0652 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
こひしくは したにをおもへ 紫の ねすりの衣 色にいつなゆめ |
かな |
こひしくは したにをおもへ むらさきの ねすりのころも いろにいつなゆめ |
0653 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | をののはるかせ |
原文 |
花すすき ほにいててこひは 名ををしみ したゆふひもの むすほほれつつ |
かな |
はなすすき ほにいててこひは なををしみ したゆふひもの むすほほれつつ |
0654 | |
詞書 |
たちはなのきよきかしのひに あひしれりける女のもとよりおこせたりける |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
思ふとち ひとりひとりか こひしなは たれによそへて ふち衣きむ |
かな |
おもふとち ひとりひとりか こひしなは たれによそへて ふちころもきむ |
0655 | |
詞書 | 返し |
作者 | たちはなのきよ木 |
原文 |
なきこふる 涙に袖の そほちなは ぬきかへかてら よるこそはきめ |
かな |
なきこふる なみたにそての そほちなは ぬきかへかてら よるこそはきめ |
0656 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | こまち(小野小町) |
原文 |
うつつには さもこそあらめ 夢にさへ 人めをよくと 見るかわひしさ |
かな |
うつつには さもこそあらめ ゆめにさへ ひとめをよくと みるかわひしさ |
0657 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | こまち(小野小町) |
原文 |
限なき 思ひのままに よるもこむ ゆめちをさへに 人はとかめし |
かな |
かきりなき おもひのままに よるもこむ ゆめちをさへに ひとはとかめし |
0658 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | こまち(小野小町) |
原文 |
夢ちには あしもやすめす かよへとも うつつにひとめ 見しことはあらす |
かな |
ゆめちには あしもやすめす かよへとも うつつにひとめ みしことはあらす |
0659 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
おもへとも 人めつつみの たかけれは 河と見なから えこそわたらね |
かな |
おもへとも ひとめつつみの たかけれは かはとみなから えこそわたらね |
0660 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
たきつせの はやき心を なにしかも 人めつつみの せきととむらむ |
かな |
たきつせの はやきこころを なにしかも ひとめつつみの せきととむらむ |
0661 | |
詞書 | 寛平御時きさいの宮の歌合のうた |
作者 | きのとものり(紀友則) |
原文 |
紅の 色にはいてし かくれぬの したにかよひて こひはしぬとも |
かな |
くれなゐの いろにはいてし かくれぬの したにかよひて こひはしぬとも |
0662 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | みつね(凡河内躬恒) |
原文 |
冬の池に すむにほ鳥の つれもなく そこにかよふと 人にしらすな |
かな |
ふゆのいけに すむにほとりの つれもなく そこにかよふと ひとにしらすな |
0663 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | みつね(凡河内躬恒) |
原文 |
ささのはに おくはつしもの 夜をさむみ しみはつくとも 色にいてめや |
かな |
ささのはに おくはつしもの よをさむみ しみはつくとも いろにいてめや |
0664 | |
詞書 |
題しらす/この歌、ある人、 あふみのうねめのとなむ申す |
作者 | 読人しらす(よみ人しらす)(一説、あふみのうねめ) |
原文 |
山しなの おとはの山の おとにたに 人のしるへく わかこひめかも |
かな |
やましなの おとはのやまの おとにたに ひとのしるへく わかこひめかも |
0665 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | 清原ふかやふ(清原深養父) |
原文 |
みつしほの 流れひるまを あひかたみ みるめの浦に よるをこそまて |
かな |
みつしほの なかれひるまを あひかたみ みるめのうらに よるをこそまて |
0666 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | 平貞文 |
原文 |
白河の しらすともいはし そこきよみ 流れて世世に すまむと思へは |
かな |
しらかはの しらすともいはし そこきよみ なかれてよよに すまむとおもへは |
0667 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | とものり(紀友則) |
原文 |
したにのみ こふれはくるし 玉のをの たえてみたれむ 人なとかめそ |
かな |
したにのみ こふれはくるし たまのをの たえてみたれむ ひとなとかめそ |
0668 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | とものり(紀友則) |
原文 |
わかこひを しのひかねては あしひきの 山橘の 色にいてぬへし |
かな |
わかこひを しのひかねては あしひきの やまたちはなの いろにいてぬへし |
0669 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
おほかたは わか名もみなと こきいてなむ 世をうみへたに 見るめすくなし |
かな |
おほかたは わかなもみなと こきいてなむ よをうみへたに みるめすくなし |
0670 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | 平貞文 |
原文 |
枕より 又しる人も なきこひを 涙せきあへす もらしつるかな |
かな |
まくらより またしるひとも なきこひを なみたせきあへす もらしつるかな |
0671 | |
詞書 |
題しらす/このうたは、ある人のいはく、 かきのもとの人まろかなり |
作者 | よみ人しらす(一説、かきのもとの人まろ(柿本人麻呂)) |
原文 |
風ふけは 浪打つ岸の 松なれや ねにあらはれて なきぬへらなり |
かな |
かせふけは なみうつきしの まつなれや ねにあらはれて なきぬへらなり |
0672 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
池にすむ 名ををし鳥の 水をあさみ かくるとすれと あらはれにけり |
かな |
いけにすむ なををしとりの みつをあさみ かくるとすれと あらはれにけり |
0673 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
逢ふ事は 玉の緒はかり 名のたつは 吉野の河の たきつせのこと |
かな |
あふことは たまのをはかり なのたつは よしののかはの たきつせのこと |
0674 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
むらとりの たちにしわか名 今更に ことなしふとも しるしあらめや |
かな |
むらとりの たちにしわかな いまさらに ことなしむとも しるしあらめや |
0675 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
君により わかなは花に 春霞 野にも山にも たちみちにけり |
かな |
きみにより わかなははなに はるかすみ のにもやまにも たちみちにけり |
0676 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | 伊勢(伊勢の御) |
原文 |
しるといへは 枕たにせて ねしものを ちりならぬなの そらにたつらむ |
かな |
しるといへは まくらたにせて ねしものを ちりならぬなの そらにたつらむ |