目次 | |||||||||
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863 不知 |
864 不知 |
865 不知 |
866 先太 |
867 不知 |
868 業× |
869 近院 |
870 今道 |
||
871 業? |
872 遍昭 |
873 源融 |
874 敏行 |
875 兼芸 |
876 友則 |
877 不知 |
878 不知 |
879 業× |
880 貫之 |
881 貫之 |
882 不知 |
883 不知 |
884 業平 |
885 敬信 |
886 不知 |
887 不知 |
888 不知 |
889 不知 |
890 不知 |
891 不知 |
892 不知 |
893 不知 |
894 不知 |
895 不知 |
896 不知 |
897 不知 |
898 不知 |
899 不知 |
900 母 |
901 業? |
902 棟梁 |
903 敏行 |
904 不知 |
905 不知 |
906 不知 |
907 柿? |
908 不知 |
909 興風 |
910 不知 |
911 不知 |
912 不知 |
913 不知 |
914 忠房 |
915 貫之 |
916 貫之 |
917 忠岑 |
918 貫之 |
919 法皇 |
920 伊勢 |
921 真静 |
922 行平 |
923 業× |
924 承均 |
925 神退 |
926 伊勢 |
927 長盛 |
928 忠岑 |
929 躬恒 |
930 静子 |
931 貫之 |
932 是則 |
||||||||
※不知が41%(29/70)。 |
0863 | |
---|---|
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
わかうへに 露そおくなる あまの河 とわたる舟の かいのしつくか |
かな |
わかうへに つゆそおくなる あまのかは とわたるふねの かいのしつくか |
コメ |
出典:伊勢59段(東山) 「わが上に 露ぞ置くなる天の河 門渡る船の かいのしづくか」 |
0864 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
思ふとち まとゐせる夜は 唐錦 たたまくをしき 物にそありける |
かな |
おもふとち まとゐせるよは からにしき たたまくをしき ものにそありける |
0865 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
うれしきを なににつつまむ 唐衣 たもとゆたかに たてといはましを |
かな |
うれしきを なににつつまむ からころも たもとゆたかに たてといはましを |
0866 | |
詞書 |
題しらす(※)/ある人のいはく、 この歌はさきのおほいまうち君のなり |
作者 |
よみ人しらす(※) (一説、さきのおほいまうち君) |
原文 |
限なき 君かためにと をる花は ときしもわかぬ 物にそ有りける |
かな |
かきりなき きみかためにと をるはなは ときしもわかぬ ものにそありける |
コメ |
参照:伊勢98段(梅の造り枝)。 「むかし、 太政大臣(おほきおほいまうちぎみ) と聞ゆる、おはしけり。 仕うまつる男、なが月ばかりに、 梅のつくり枝に雉をつけて、奉るとて、 『わがたのむ 君がためにと 折る花は ときしもわかぬ ものにぞありける』 とよみて奉りたりければ、 いとかしこくおかしがり給ひて、 使に禄たまへりけり。」 これは伊勢の著者、文屋の代作。 それを伏せるために「わがたのむ」が「限りなき」というベタベタのヨイショになっている。 「仕うまつる男」は、95段の「二条の后に仕うまつる男」とリンクさせた表現。縫殿の文屋で昔男。 太政大臣は、この二条の后の兄として出てきている流れなので、その部下の男が突如出てきているのではない。 |
0867 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
紫の ひともとゆゑに むさしのの 草はみなから あはれとそ見る |
かな |
むらさきの ひともとゆゑに むさしのの くさはみなから あはれとそみる |
0868 | |
詞書 |
めのおとうとをもて侍りける人に うへのきぬをおくるとてよみてやりける |
作者 | なりひらの朝臣(在原業平)(※問題あり) |
原文 |
紫の 色こき時は めもはるに 野なる草木そ わかれさりける |
かな |
むらさきの いろこきときは めもはるに のなるくさきそ わかれさりける |
コメ |
出典:伊勢41段(紫 上のきぬ)。 「これを、かのあてなる男聞きて、 いと心苦しかりければ、 いと清らかなる録衫の上の衣を 見出でてやるとて、 『紫の 色濃き時 はめもはるに 野なる草木ぞ わかれざりける』 武蔵野の心なるべし。」 |
0869 | |
詞書 |
大納言ふちはらのくにつねの朝臣の 宰相より中納言になりける時、 そめぬうへのきぬあやをおくるとてよめる |
作者 | 近院右のおほいまうちきみ |
原文 |
色なしと 人や見るらむ 昔より ふかき心に そめてしものを |
かな |
いろなしと ひとやみるらむ むかしより ふかきこころに そめてしものを |
0870 | |
詞書 |
いそのかみのなむまつか宮つかへもせて いそのかみといふ所にこもり侍りけるを、 にはかにかうふりたまはれりけれは、 よろこひいひつかはすとて よみてつかはしける |
作者 | ふるのいまみち(布留今道) |
原文 |
日のひかり やふしわかねは いそのかみ ふりにしさとに 花もさきけり |
かな |
ひのひかり やふしわかねは いそのかみ ふりにしさとに はなもさきけり |
0871 | |
詞書 |
二条のきさきの また東宮のみやすんところと申しける時に、 おほはらのにまうてたまひける日よめる |
作者 | なりひらの朝臣(在原業平)(※問題あり) |
原文 |
おほはらや をしほの山も けふこそは 神世の事も 思ひいつらめ |
かな |
おほはらや をしほのやまも けふこそは かみよのことも おもひいつらめ |
コメ |
出典:伊勢76段(小塩の山)。 「むかし、二条の后の、 まだ春宮の御息所と申しける時、 氏神にまうで給ひけるに、 近衛府にさぶらひける翁、 人々の禄たまはるついでに、 御車より給はりて、よみて奉りける。 『大原や をしほの山も 今日こそは 神代のことも 思ひいづらめ』とて、 心にもかなしと思ひけむ、 いかが思ひけむ、知らずかし。」 |
0872 | |
詞書 | 五節のまひひめを見てよめる |
作者 | よしみねのむねさた(良岑宗貞、遍昭) |
原文 |
あまつかせ 雲のかよひち 吹きとちよ をとめのすかた しはしととめむ |
かな |
あまつかせ くものかよひち ふきとちよ をとめのすかた しはしととめむ |
コメ |
百人一首12。 あまつかぜ くものかよひぢ ふきとぢよ をとめのすがた しばしとどめむ /天つ風 雲の通ひ路 吹き閉ぢよ をとめの姿 しばしとどめむ |
0873 | |
詞書 |
五せちのあしたに かむさしのたまのおちたりけるを見て、 たかならむととふらひてよめる |
作者 |
河原の左のおほいまうちきみ (源融、みなもとのとおる) |
原文 |
ぬしやたれ とへとしら玉 いはなくに さらはなへてや あはれとおもはむ |
かな |
ぬしやたれ とへとしらたま いはなくに さらはなへてや あはれとおもはむ |
0874 | |
詞書 |
寛平御時 うへのさふらひに侍りけるをのことも、 かめをもたせて きさいの宮の御方におほみきのおろしと きこえにたてまつりたりけるを、 くら人ともわらひて かめをおまへにもていてて ともかくもいはすなりにけれは、 つかひのかへりきて、さなむありつる といひけれは、くら人のなかにおくりける |
作者 | としゆきの朝臣(藤原敏行) |
原文 |
玉たれの こかめやいつら こよろきの いその浪わけ おきにいてにけり |
かな |
たまたれの こかめやいつら こよろきの いそのなみわけ おきにいてにけり |
0875 | |
詞書 | 女ともの見てわらひけれはよめる |
作者 | けむけいほうし(兼芸法師) |
原文 |
かたちこそ み山かくれの くち木なれ 心は花に なさはなりなむ |
かな |
かたちこそ みやまかくれの くちきなれ こころははなに なさはなりなむ |
0876 | |
詞書 |
方たかへに人の家にまかれりける時に、 あるしのきぬをきせたりけるを あしたにかへすとてよみける |
作者 | きのとものり(紀友則) |
原文 |
蝉のはの よるの衣は うすけれと うつりかこくも にほひぬるかな |
かな |
せみのはの よるのころもは うすけれと うつりかこくも にほひぬるかな |
0877 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
おそくいつる 月にもあるかな 葦引の 山のあなたも をしむへらなり |
かな |
おそくいつる つきにもあるかな あしひきの やまのあなたも をしむへらなり |
0878 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
わか心 なくさめかねつ さらしなや をはすて山に てる月を見て |
かな |
わかこころ なくさめかねつ さらしなや をはすてやまに てるつきをみて |
0879 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | なりひらの朝臣(在原業平)(※問題あり) |
原文 |
おほかたは 月をもめてし これそこの つもれは人の おいとなるもの |
かな |
おほかたは つきをもめてし これそこの つもれはひとの おいとなるもの |
コメ |
出典:伊勢88段(月をもめでじ)。 「むかし、いと若きにはあらぬ、 これかれ友だちども集りて、 月を見て、それがなかにひとり、 『おほかたは 月をもめでじ これぞこの つもれば人の 老いとなるもの』」 |
0880 | |
詞書 |
月おもしろしとて 凡河内躬恒かまうてきたりけるによめる |
作者 | きのつらゆき(紀貫之) |
原文 |
かつ見れと うとくもあるかな 月影の いたらぬさとも あらしと思へは |
かな |
かつみれと うとくもあるかな つきかけの いたらぬさとも あらしとおもへは |
0881 | |
詞書 | 池に月の見えけるをよめる |
作者 | きのつらゆき(紀貫之) |
原文 |
ふたつなき 物と思ひしを みなそこに 山のはならて いつる月かけ |
かな |
ふたつなき ものとおもひしを みなそこに やまのはならて いつるつきかけ |
0882 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
あまの河 雲のみをにて はやけれは ひかりととめす 月そなかるる |
かな |
あまのかは くものみをにて はやけれは ひかりととめす つきそなかるる |
0883 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
あかすして 月のかくるる 山本は あなたおもてそ こひしかりける |
かな |
あかすして つきのかくるる やまもとは あなたおもてそ こひしかりける |
0884 | |
詞書 |
これたかのみこの かりしけるともにまかりて、 やとりにかへりて 夜ひとよさけをのみ物かたりをしけるに、 十一日の月もかくれなむとしけるをりに、 みこ、ゑひてうちへいりなむとしけれは よみ侍りける |
作者 | なりひらの朝臣(在原業平)(※) |
原文 |
あかなくに またきも月の かくるるか 山のはにけて いれすもあらなむ |
かな |
あかなくに またきもつきの かくるるか やまのはにけて いれすもあらなむ |
コメ |
出典:伊勢82段(渚の院)。 「十一日の月もかくれなむとすれば、 かの馬頭のよめる。 『あかなくに まだきも月の かくるゝか 山の端にげて 入れずもあらなむ』」 |
0885 | |
詞書 |
田むらのみかとの御時に、 斎院に侍りけるあきらけいこのみこを、 ははあやまちありといひて 斎院をかへられむとしけるを、 そのことやみにけれはよめる |
作者 | あま敬信(詳細不明。『古今和歌集目録』では尼敬信) |
原文 |
おほそらを てりゆく月し きよけれは 雲かくせとも ひかりけなくに |
かな |
おほそらを てりゆくつきし きよけれは くもかくせとも ひかりけなくに |
0886 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
いそのかみ ふるからをのの もとかしは 本の心は わすられなくに |
かな |
いそのかみ ふるからをのの もとかしは もとのこころは わすられなくに |
0887 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
いにしへの 野中のし水 ぬるけれと 本の心を しる人そくむ |
かな |
いにしへの のなかのしみつ ぬるけれと もとのこころを しるひとそくむ |
0888 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす(※) |
原文 |
いにしへの しつのをたまき いやしきも よきもさかりは 有りしものなり |
かな |
いにしへの しつのをたまき いやしきも よきもさかりは ありしものなり |
コメ |
出典:伊勢32段(しづのをだまき)。 「むかし、ものいひける女に、 年ごろありて、 『古の しづのをだまき くりかへし 昔を今に なすよしもがな』 といへりけれど、 なにとも思はずやありけむ。」 |
0889 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
今こそあれ 我も昔は をとこ山 さかゆく時も 有りこしものを |
かな |
いまこそあれ われもむかしは をとこやま さかゆくときも ありこしものを |
0890 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
世中に ふりぬる物は つのくにの なからのはしと 我となりけり |
かな |
よのなかに ふりぬるものは つのくにの なからのはしと われとなりけり |
0891 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
ささのはに ふりつむ雪の うれをおもみ 本くたちゆく わかさかりはも |
かな |
ささのはに ふりつむゆきの うれをおもみ もとくたちゆく わかさかりはも |
0892 | |
詞書 |
題しらす/又は、 さくらあさのをふのしたくさおいぬれは |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
おほあらきの もりのした草 おいぬれは 駒もすさめす かる人もなし |
かな |
おほあらきの もりのしたくさ おいぬれは こまもすさへす かるひともなし |
0893 | |
詞書 |
題しらす/このみつの歌は、 昔ありけるみたりのおきなのよめるとなむ |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
かそふれは とまらぬ物を 年といひて ことしはいたく おいそしにける |
かな |
かそふれは とまらぬものを としといひて ことしはいたく おいそしにける |
0894 | |
詞書 |
題しらす /又は、おほとものみつのはまへに /このみつの歌は、 昔ありけるみたりのおきなのよめるとなむ |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
おしてるや なにはのみつに やくしほの からくも我は おいにけるかな |
かな |
おしてるや なにはのみつに やくしほの からくもわれは おいにけるかな |
0895 | |
詞書 |
題しらす/このみつの歌は、 昔ありけるみたりのおきなのよめるとなむ |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
おいらくの こむとしりせは かとさして なしとこたへて あはさらましを |
かな |
おいらくの こむとしりせは かとさして なしとこたへて あはさらましを |
0896 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
さかさまに 年もゆかなむ とりもあへす すくるよはひや ともにかへると |
かな |
さかさまに としもゆかなむ とりもあへす すくるよはひや ともにかへると |
0897 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
とりとむる 物にしあらねは 年月を あはれあなうと すくしつるかな |
かな |
とりとむる ものにしあらねは としつきを あはれあなうと すくしつるかな |
0898 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
ととめあへす むへもとしとは いはれけり しかもつれなく すくるよはひか |
かな |
ととめあへす うへもとしとは いはれけり しかもつれなく すくるよはひか |
0899 | |
詞書 |
題しらす/この歌は、 ある人のいはく、おほとものくろぬしかなり |
作者 | よみ人しらす(一説、おほとものくろぬし) |
原文 |
鏡山 いさ立ちよりて 見てゆかむ 年へぬる身は おいやしぬると |
かな |
かかみやま いさたちよりて みてゆかむ としへぬるみは おいやしぬると |
0900 | |
詞書 |
業平朝臣(※問題あり)の ははのみこ長岡にすみ侍りける時に、 なりひら(※問題あり)宮つかへすとて 時時もえまかりとふらはす侍りけれは、 しはすはかりにははのみこのもとより、 とみの事とてふみをもてまうてきたり、 あけて見れは、ことははなくてありけるうた |
作者 | 業平朝臣(※問題あり)のははのみこ |
原文 |
老いぬれは さらぬ別も ありといへは いよいよ見まく ほしき君かな |
かな |
おいぬれは さらぬわかれも ありといへは いよいよみまく ほしききみかな |
コメ |
出典:伊勢84段(さらぬ別れ)。 「むかし、男ありけり。 身はいやしながら、母なむ宮なりける。 その母長岡といふ所に住み給ひけり。 子は京に宮仕へしければ、 まうづとしけれど、しばしばえまうでず。 ひとつ子さへありければ、 いとかなしうし給ひけり。 さるに、しはすばかりに、 とみの事とて、御ふみあり。 おどろきて見れば、うたあり。 『老いぬれば さらぬ別れの ありといへば いよいよ見まく ほしく君かな』」 |
0901 | |
詞書 | 返し |
作者 | なりひらの朝臣(在原業平)(※問題あり) |
原文 |
世中に さらぬ別の なくもかな 千世もとなけく 人のこのため |
かな |
よのなかに さらぬわかれの なくもかな ちよもとなけく ひとのこのため |
コメ |
出典:伊勢84段(さらぬ別れ)。 「かの子、いたううちなきてよめる。 『世の中に さらぬ別れの なくもがな 千代もといのる 人の子のため』」 |
0902 | |
詞書 | 寛平御時きさいの宮の歌合のうた |
作者 | 在原むねやな(在原棟梁) |
原文 |
白雪の やへふりしける かへる山 かへるかへるも おいにけるかな |
かな |
しらゆきの やへふりしける かへるやま かへるかへるも おいにけるかな |
0903 | |
詞書 |
おなし御時のうへのさふらひにて、 をのこともにおほみきたまひて、 おほみあそひありけるついてに つかうまつれる |
作者 | としゆきの朝臣(藤原敏行) |
原文 |
おいぬとて なとかわか身を せめきけむ おいすはけふに あはましものか |
かな |
おいぬとて なとかわかみを せめきけむ おいすはけふに あはましものか |
0904 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
ちはやふる 宇治の橋守 なれをしそ あはれとは思ふ 年のへぬれは |
かな |
ちはやふる うちのはしもり なれをしそ あはれとはおもふ としのへぬれは |
0905 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
我見ても ひさしく成りぬ 住の江の 岸の姫松 いくよへぬらむ |
かな |
われみても ひさしくなりぬ すみのえの きしのひめまつ いくよへぬらむ |
0906 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
住吉の 岸のひめ松 人ならは いく世かへしと とはましものを |
かな |
すみよしの きしのひめまつ ひとならは いくよかへしと とはましものを |
0907 | |
詞書 |
題しらす/この歌は、ある人のいはく、 柿本人麿かなり |
作者 | よみ人しらす(一説、柿本人麻呂) |
原文 |
梓弓 いそへのこ松 たか世にか よろつ世かねて たねをまきけむ |
かな |
あつさゆみ いそへのこまつ たかよにか よろつよかねて たねをまきけむ |
0908 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
かくしつつ 世をやつくさむ 高砂の をのへにたてる 松ならなくに |
かな |
かくしつつ よをやつくさむ たかさこの をのへにたてる まつならなくに |
0909 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | 藤原おきかせ(藤原興風) |
原文 |
誰をかも しる人にせむ 高砂の 松も昔の 友ならなくに |
かな |
たれをかも しるひとにせむ たかさこの まつもむかしの ともならなくに |
コメ |
百人一首34。 たれをかも しるひとにせむ たかさごの まつもむかしの ともならなくに |
0910 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
わたつ海の おきつしほあひに うかふあわの きえぬものから よる方もなし |
かな |
わたつうみの おきつしほあひに うかふあわの きえぬものから よるかたもなし |
0911 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
わたつ海の かさしにさせる 白妙の 浪もてゆへる 淡路しま山 |
かな |
わたつうみの かさしにさせる しろたへの なみもてゆへる あはちしまやま |
0912 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
わたの原 よせくる浪の しはしはも 見まくのほしき 玉津島かも |
かな |
わたのはら よせくるなみの しはしはも みまくのほしき たまつしまかも |
0913 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
なにはかた しほみちくらし あま衣 たみのの島に たつなき渡る |
かな |
なにはかた しほみちくらし あまころも たみののしまに たつなきわたる |
0914 | |
詞書 |
貫之かいつみのくにに侍りける時に、 やまとよりこえまうてきて よみてつかはしける |
作者 | 藤原たたふさ(藤原忠房) |
原文 |
君を思ひ おきつのはまに なくたつの 尋ねくれはそ ありとたにきく |
かな |
きみをおもひ おきつのはまに なくたつの たつねくれはそ ありとたにきく |
0915 | |
詞書 | 返し |
作者 | つらゆき(紀貫之) |
原文 |
おきつ浪 たかしのはまの 浜松の 名にこそ君を まちわたりつれ |
かな |
おきつなみ たかしのはまの はままつの なにこそきみを まちわたりつれ |
0916 | |
詞書 | なにはにまかれりける時よめる |
作者 | つらゆき(紀貫之) |
原文 |
なにはかた おふるたまもを かりそめの あまとそ我は なりぬへらなる |
かな |
なにはかた おふるたまもを かりそめの あまとそわれは なりぬへらなる |
0917 | |
詞書 |
あひしれりける人の住吉にまうてけるに よみてつかはしける |
作者 | みふのたたみね(壬生忠岑) |
原文 |
すみよしと あまはつくとも なかゐすな 人忘草 おふといふなり |
かな |
すみよしと あまはつくとも なかゐすな ひとわすれくさ おふといふなり |
0918 | |
詞書 |
なにはへまかりける時、 たみののしまにて雨にあひてよめる |
作者 | つらゆき(紀貫之) |
原文 |
あめにより たみのの島を けふゆけと 名にはかくれぬ 物にそ有りける |
かな |
あめにより たみののしまを けふゆけと なにはかくれぬ ものにそありける |
0919 | |
詞書 |
法皇にし河におはしましたりける日、 つるすにたてりといふことを題にて よませたまひける |
作者 | 法皇 |
原文 |
あしたつの たてる河辺を 吹く風に よせてかへらぬ 浪かとそ見る |
かな |
あしたつの たてるかはへを ふくかせに よせてかへらぬ なみかとそみる |
0920 | |
詞書 |
中務のみこの家の池に 舟をつくりておろしはしめてあそひける日、 法皇御覧しにおはしましたりけり、 ゆふさりつかた、 かへりおはしまさむとしけるをりに、 よみてたてまつりける |
作者 | 伊勢(伊勢の御) |
原文 |
水のうへに うかへる舟の 君ならは ここそとまりと いはましものを |
かな |
みつのうへに うかへるふねの きみならは ここそとまりと いはましものを |
0921 | |
詞書 | からことといふ所にてよめる |
作者 | 真せいほうし(真静法師、『古今和歌集目録』。詳細不明) |
原文 |
宮こまて ひひきかよへる からことは 浪のをすけて 風そひきける |
かな |
みやこまて ひひきかよへる からことは なみのをすけて かせそひきける |
0922 | |
詞書 | ぬのひきのたきにてよめる |
作者 | 在原行平朝臣 |
原文 |
こきちらす たきの白玉 ひろひおきて 世のうき時の 涙にそかる |
かな |
こきちらす たきのしらたま ひろひおきて よのうきときの なみたにそかる |
コメ | 元には、たきのしら「いと」とあったが誤記だろう。 |
0923 | |
詞書 |
布引の滝の本にて 人人あつまりて歌よみける時によめる |
作者 | なりひらの朝臣(在原業平)(※問題あり) |
原文 |
ぬきみたる 人こそあるらし 白玉の まなくもちるか 袖のせはきに |
かな |
ぬきみたる ひとこそあるらし しらたまの まなくもちるか そてのせはきに |
コメ |
出典:伊勢87段(布引の滝)。 「むかし、男、…(略)… この男、なま宮仕へしければ、 それを便りにて、衛府佐ども集まり来にけり。 この男のこのかみも衛府督なりけり。 …(略)… 「いざ、この山のかみにありといふ布引の滝 見にのぼらむ」といひてのぼり見るに、 …(略)… そこなる人にみな滝の歌よます。 かの衛府督まづよむ。 『わが世をば けふかあすかと 待つかひの 涙のたきと いづれたかけむ』 あるじ、つぎによむ。 「『ぬき乱る 人こそあるらし 白玉の まなくもちるか 袖のせばきに』 とよめりければ、かたへの人、笑ふ。 ことにやありけむ、 この歌にめでて止みにけり。」 |
0924 | |
詞書 | よしののたきを見てよめる |
作者 | 承均法師 |
原文 |
たかために ひきてさらせる ぬのなれや 世をへて見れと とる人もなき |
かな |
たかために ひきてさらせる ぬのなれや よをへてみれと とるひとのなき |
0925 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | 神たい法し(神退法師、『古今和歌集目録』。詳細不明) |
原文 |
きよたきの せせのしらいと くりためて 山わけ衣 おりてきましを |
かな |
きよたきの せせのしらいと くりためて やまわけころも おりてきましを |
0926 | |
詞書 | 竜門にまうててたきのもとにてよめる |
作者 | 伊勢(伊勢の御) |
原文 |
たちぬはぬ きぬきし人も なきものを なに山姫の ぬのさらすらむ |
かな |
たちぬはぬ きぬきしひとも なきものを なにやまひめの ぬのさらすらむ |
0927 | |
詞書 |
朱雀院のみかとぬのひきのたき御覧せむとて ふん月のなぬかの日おはしましてありける時に、 さふらふ人人に歌よませたまひけるによめる |
作者 | たちはなのなかもり(橘長盛) |
原文 |
ぬしなくて さらせるぬのを たなはたに わか心とや けふはかさまし |
かな |
ぬしなくて さらせるぬのを たなはたに わかこころとや けふはかさまし |
0928 | |
詞書 | ひえの山なるおとはのたきを見てよめる |
作者 | たたみね(壬生忠岑) |
原文 |
おちたきつ たきのみなかみ としつもり おいにけらしな くろきすちなし |
かな |
おちたきつ たきのみなかみ としつもり おいにけらしな くろきすちなし |
0929 | |
詞書 | おなしたきをよめる |
作者 | みつね(凡河内躬恒) |
原文 |
風ふけと 所もさらぬ 白雲は よをへておつる 水にそ有りける |
かな |
かせふけと ところもさらぬ しらくもは よをへておつる みつにそありける |
0930 | |
詞書 |
田むらの御時に女房のさふらひにて 御屏風のゑ御覧しけるに、 たきおちたりける所おもしろし、 これを題にてうたよめと さふらふ人におほせられけれはよめる |
作者 | 三条の町(三条町、紀静子) |
原文 |
おもひせく 心の内の たきなれや おつとは見れと おとのきこえぬ |
かな |
おもひせく こころのうちの たきなれや おつとはみれと おとのきこえぬ |
0931 | |
詞書 | 屏風のゑなる花をよめる |
作者 | つらゆき(紀貫之) |
原文 |
さきそめし 時よりのちは うちはへて 世は春なれや 色のつねなる |
かな |
さきそめし ときよりのちは うちはへて よははるなれや いろのつねなる |
0932 | |
詞書 | 屏風のゑによみあはせてかきける |
作者 | 坂上これのり(坂上是則) |
原文 |
かりてほす 山田のいねの こきたれて なきこそわたれ 秋のうけれは |
かな |
かりてほす やまたのいねの こきたれて なきこそわたれ あきのうけれは |