目次 | |||||||||
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249 文屋 |
250 文屋 |
||||||||
251 淑望 |
252 不知 |
253 不知 |
254 不知 |
255 勝臣 |
256 貫之 |
257 敏行 |
258 忠岑 |
259 不知 |
260 貫之 |
261 元方 |
262 貫之 |
263 忠岑 |
264 不知 |
265 友則 |
266 不知 |
267 是則 |
268 業× |
269 敏行 |
270 友則 |
271 千里 |
272 道真 |
273 素性 |
274 友則 |
275 友則 |
276 貫之 |
277 躬恒 |
278 不知 |
279 貞文 |
280 貫之 |
281 不知 |
282 関雄 |
283 奈良? |
284 柿? |
285 不知 |
286 不知 |
287 不知 |
288 不知 |
289 不知 |
290 不知 |
291 関雄 |
292 遍昭 |
293 素性 |
294 業× |
295 敏行 |
296 忠岑 |
297 貫之 |
298 兼覧 |
299 貫之 |
300 深養 |
301 興風 |
302 是則 |
303 列樹 |
304 躬恒 |
305 躬恒 |
306 忠岑 |
307 不知 |
308 不知 |
309 素性 |
310 興風 |
311 貫之 |
312 貫之 |
313 躬恒 |
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※先頭連続。この他連続は恋二の小町、物名の敏行の三者のみ。秋と恋は最重要の2トップ。それが古今の客観的配分。これでランダムの帰結ということはありえない。 加えて業平は恋三で敏行により連続が崩される。敏行は業平の義弟で年下かつ明確に格下。つまり貫之は業平を明確に否定している。それが古今の先頭を孫の元方にしていることにも表わされる。詞書に示されるように、古今は伊勢から絶大な影響を受けているにもかかわらず。つまり貫之は業平を伊勢の歌い手と認めていない。一般の業平認定を配置で否定している。否定は貫之でもできなかった。しても無意味だった。そういう所(思い込みのスローガンで突き進み当を得た批判に全く聞く耳もたない)が、この国の(公の)文化というのは、誰もが認めるところだろう(公系統の人を除いて)。 そういう表現は源氏物語にもあり確実なこと。 「在五中将の名をば、え朽たさじ」とのたまはせて、宮、 「みるめこそ うらふりぬらめ年経にし 伊勢をの海人の名をや沈めむ」 かやうの女言にて乱りがはしく争ふに、一巻に言の葉を尽くして、えも言ひやらず(つまり伊勢を通して説明できない。ごく一部だけ都合よく見て語る)。ただ、あさはかなる若人どもは、死にかへりゆかしがれど、主上のも宮のも片端をだにえ見ず(つまり伊勢を。なので)、いといたう秘めさせたまふ」 秘めさせたのは、紫的には言っても無意味だからで、公側からみれば、余計なこと=体制の見解に都合の悪いことは言うなという、今でもお決まりの封殺。 内容でもそうなのに、紫が言えばさらに危うい。無視しきれなくなる。 貫之が上記の配置配分を操作していることは、仮名序と貫之のみ100首という突出したキリ番で、他の撰者はランダムということからも明らか。 貫之が文屋を立てたことは、8に名にあて直下の9に貫之を配置することから明らか(人麻呂と赤人の関係とパラレル)。 したがって、仮名序の一般的解釈は端的に誤り。前後の掛かりを読めていないだけ。言葉は巧みなのに身に負わないではない。匂わせないという意味(ひけらかさない)。 だから匿名の伊勢の昔男(それが源氏の「伊勢をの海人の名」)。光源氏も名がない。名称が形容詞。そんな主人公はないだろう。つまり昔男がモデル。それ以外ない。文屋の子、朝康と掛けて夕霧(だから源氏唯一の正式な嫡男なのに存在感がない)。妻(梓弓の女=葵)は早世し、彼女といざこざが起きた六条御息所は、普通に見れば二条の后。そうではないというのはただナンセンス。ただ読めていないだけ。伊勢も源氏も片端も。 |
0249 | |
---|---|
詞書 | これさたのみこの家の歌合のうた |
作者 | 文屋やすひて(文屋康秀) |
原文 |
吹くからに 秋の草木の しをるれは むへ山かせを あらしといふらむ |
かな |
ふくからに あきのくさきの しをるれは うへやまかせを あらしといふらむ |
コメ |
百人一首22。 ふくからに あきのくさきの しをるれば むべやまかぜを あらしといふらむ /吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を 嵐といふらむ |
0250 | |
詞書 | これさたのみこの家の歌合のうた |
作者 | 文屋やすひて(文屋康秀) |
原文 |
草も木も 色かはれとも わたつうみの 浪の花にそ 秋なかりける |
かな |
くさもきも いろかはれとも わたつうみの なみのはなにそ あきなかりける |
0251 | |
詞書 | 秋の歌合しける時によめる |
作者 | 紀よしもち(紀淑望) |
原文 |
紅葉せぬ ときはの山は 吹く風の おとにや秋を ききわたるらむ |
かな |
もみちせぬ ときはのやまは ふくかせの おとにやあきを ききわたるらむ |
0252 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
霧立ちて 雁そなくなる 片岡の 朝の原は 紅葉しぬらむ |
かな |
きりたちて かりそなくなる かたをかの あしたのはらは もみちしぬらむ |
0253 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
神な月 時雨もいまた ふらなくに かねてうつろふ 神なひのもり |
かな |
かみなつき しくれもいまた ふらなくに かねてうつろふ かみなひのもり |
0254 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
ちはやふる 神なひ山の もみちはに 思ひはかけし うつろふものを |
かな |
ちはやふる かみなひやまの もみちはに おもひはかけし うつろふものを |
0255 | |
詞書 |
貞観御時、綾綺殿のまへに梅の木ありけり、 にしの方にさせりける えたのもみちはしめたりけるを うへにさふらふをのことものよみける ついてによめる |
作者 | 藤原かちおむ(藤原勝臣) |
原文 |
おなしえを わきてこのはの うつろふは 西こそ秋の はしめなりけれ |
かな |
おなしえを わきてこのはの うつろふは にしこそあきの はしめなりけれ |
0256 | |
詞書 |
いしやまにまうてける時、 おとは山のもみちを見てよめる |
作者 | つらゆき(紀貫之) |
原文 |
秋風の ふきにし日より おとは山 峰のこすゑも 色つきにけり |
かな |
あきかせの ふきにしひより おとはやま みねのこすゑも いろつきにけり |
0257 | |
詞書 | これさたのみこの家の歌合によめる |
作者 | としゆきの朝臣(藤原敏行) |
原文 |
白露の 色はひとつを いかにして 秋のこのはを ちちにそむらむ |
かな |
しらつゆの いろはひとつを いかにして あきのこのはを ちちにそむらむ |
0258 | |
詞書 | これさたのみこの家の歌合によめる |
作者 | 壬生忠岑 |
原文 |
秋の夜の つゆをはつゆと おきなから かりの涙や のへをそむらむ |
かな |
あきのよの つゆをはつゆと おきなから かりのなみたや のへをそむらむ |
0259 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
あきのつゆ いろいろことに おけはこそ 山のこのはの ちくさなるらめ |
かな |
あきのつゆ いろいろことに おけはこそ やまのこのはの ちくさなるらめ |
0260 | |
詞書 | もる山のほとりにてよめる |
作者 | つらゆき(紀貫之) |
原文 |
しらつゆも 時雨もいたく もる山は したはのこらす 色つきにけり |
かな |
しらつゆも しくれもいたく もるやまは したはのこらす いろつきにけり |
0261 | |
詞書 | 秋のうたとてよめる |
作者 | 在原元方 |
原文 |
雨ふれと つゆももらしを かさとりの 山はいかてか もみちそめけむ |
かな |
あめふれと つゆももらしを かさとりの やまはいかてか もみちそめけむ |
0262 | |
詞書 |
神のやしろのあたりをまかりける時に いかきのうちのもみちを見てよめる |
作者 | つらゆき(紀貫之) |
原文 |
ちはやふる 神のいかきに はふくすも 秋にはあへす うつろひにけり |
かな |
ちはやふる かみのいかきに はふくすも あきにはあへす うつろひにけり |
コメ |
参照:伊勢71段(神のいがき)。 「ちはやぶる 神のいがきも 越えぬべし 大宮人の 見まくほしさに」 |
0263 | |
詞書 | これさたのみこの家の歌合によめる |
作者 | たたみね(壬生忠岑) |
原文 |
あめふれは かさとり山の もみちはは ゆきかふ人の そてさへそてる |
かな |
あめふれは かさとりやまの もみちはは ゆきかふひとの そてさへそてる |
0264 | |
詞書 | 寛平御時きさいの宮の歌合のうた |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
ちらねとも かねてそをしき もみちはは 今は限の 色と見つれは |
かな |
ちらねとも かねてそをしき もみちはは いまはかきりの いろとみつれは |
0265 | |
詞書 |
やまとのくににまかりける時、 さほ山にきりのたてりけるを見てよめる |
作者 | きのとものり(紀友則) |
原文 |
たかための 錦なれはか 秋きりの さほの山辺を たちかくすらむ |
かな |
たかための にしきなれはか あききりの さほのやまへを たちかくすらむ |
0266 | |
詞書 | 是貞のみこの家の歌合のうた |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
秋きりは けさはなたちそ さほ山の ははそのもみち よそにても見む |
かな |
あききりは けさはなたちそ さほやまの ははそのもみち よそにてもみむ |
0267 | |
詞書 | 秋のうたとてよめる |
作者 | 坂上是則 |
原文 |
佐保山の ははその色は うすけれと 秋は深くも なりにけるかな |
かな |
さほやまの ははそのいろは うすけれと あきはふかくも なりにけるかな |
0268 | |
詞書 |
人のせんさいに きくにむすひつけてうゑけるうた |
作者 |
在原なりひらの朝臣(在原業平) (※問題あり) |
原文 |
うゑしうゑは 秋なき時や さかさらむ 花こそちらめ ねさへかれめや |
かな |
うゑしうゑは あきなきときや さかさらむ はなこそちらめ ねさへかれめや |
コメ |
出典:伊勢51段(前栽の菊)。 「むかし、男、人の前栽に菊植ゑけるに、 『植ゑしうゑば 秋なき時や 咲かざらむ 花こそ散らめ 根さへ枯れめや』」 これは業平の歌ではない。文屋の歌。 人の庭に植えた菊はどっちのものになるもんかね、という歌(その心はハナから意味ない想定)。判事だった経験と定着物という法的論点。 伊勢での「むかし男」は、12段(武蔵野)を除き、全て著者を意味している。 そして著者は業平足り得ない。それは今では常識。説のレベルではない。伊勢の文面を見ればそうでしかありえない。 しかしかつてはそう見られていなかった(読解力がなさすぎて、というより噂だけで認定した)。だからこういう認定になっている。 つまり伊勢は知らないが、みなが業平の歌集と言っているということで認定されている。この国の公には基本的に主体性はない。責任を嫌う。 在五、在原なりける男は、伊勢63段・65段で言及され、いずれも強く非難され、主人公でも著者でもあり得ない。 かつ名前にからめて言及した時点で、昔男でもない。昔男は最初から最後まで一貫している。著者はそこまで阿保レベルではない。 兄の行平は端的にしかも問題の人物とセットで二度も言及しているので(79段・101段)、直接言及しないのはあまりに憚られるからである。 |
0269 | |
詞書 |
寛平御時きくの花をよませたまうける /この歌は、また殿上ゆるされさりける時にめしあけられてつかうまつれるとなむ |
作者 | としゆきの朝臣(藤原敏行) |
原文 |
久方の 雲のうへにて 見る菊は あまつほしとそ あやまたれける |
かな |
ひさかたの くものうへにて みるきくは あまつほしとそ あやまたれける |
0270 | |
詞書 | これさたのみこの家の歌合のうた |
作者 | きのとものり(紀友則) |
原文 |
露なから をりてかささむ きくの花 おいせぬ秋の ひさしかるへく |
かな |
つゆなから をりてかささむ きくのはな おいせぬあきの ひさしかるへく |
0271 | |
詞書 | 寛平御時きさいの宮の歌合のうた |
作者 | 大江千里 |
原文 |
うゑし時 花まちとほに ありしきく うつろふ秋に あはむとや見し |
かな |
うゑしとき はなまちとほに ありしきく うつろふあきに あはむとやみし |
0272 | |
詞書 |
おなし御時せられけるきくあはせに、 すはまをつくりて 菊の花うゑたりけるにくはへたりけるうた、 ふきあけのはまのかたに きくうゑたりけるによめる |
作者 | すかはらの朝臣(菅原道真) |
原文 |
秋風の 吹きあけにたてる 白菊は 花かあらぬか 浪のよするか |
かな |
あきかせの ふきあけにたてる しらきくは はなかあらぬか なみのよするか |
0273 | |
詞書 | 仙宮に菊をわけて人のいたれるかたをよめる |
作者 | 素性法師 |
原文 |
ぬれてほす 山ちの菊の つゆのまに いつかちとせを 我はへにけむ |
かな |
ぬれてほす やまちのきくの つゆのまに いつかちとせを われはへにけむ |
0274 | |
詞書 | 菊の花のもとにて人の人まてるかたをよめる |
作者 | とものり(紀友則) |
原文 |
花見つつ 人まつ時は しろたへの 袖かとのみそ あやまたれける |
かな |
はなみつつ ひとまつときは しろたへの そてかとのみそ あやまたれける |
0275 | |
詞書 | おほさはの池のかたにきくうゑたるをよめる |
作者 | とものり(紀友則) |
原文 |
ひともとと 思ひしきくを おほさはの 池のそこにも たれかうゑけむ |
かな |
ひともとと おもひしきくを おほさはの いけのそこにも たれかうゑけむ |
0276 | |
詞書 |
世中のはかなきことを思ひけるをりに きくの花を見てよみける |
作者 | つらゆき(紀貫之) |
原文 |
秋の菊 にほふかきりは かさしてむ 花よりさきと しらぬわか身を |
かな |
あきのきく にほふかきりは かさしてむ はなよりさきと しらぬわかみを |
0277 | |
詞書 | しらきくの花をよめる |
作者 | 凡河内みつね(凡河内躬恒) |
原文 |
心あてに をらはやをらむ はつしもの おきまとはせる 白菊の花 |
かな |
こころあてに をらはやをらむ はつしもの おきまとはせる しらきくのはな |
コメ |
百人一首29。 こゝろあてに をらばやをらむ はつしもの おきまどはせる しらぎくのはな /心あてに 折らばや折らむ 初霜の 置きまどはせる 白菊の花 |
0278 | |
詞書 | これさたのみこの家の歌合のうた |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
いろかはる 秋のきくをは ひととせに ふたたひにほふ 花とこそ見れ |
かな |
いろかはる あきのきくをは ひととせに ふたたひにほふ はなとこそみれ |
0279 | |
詞書 |
仁和寺にきくのはなめしける時に うたそへてたてまつれとおほせられけれは、よみてたてまつりける |
作者 | 平さたふん(平貞文) |
原文 |
秋をおきて 時こそ有りけれ 菊の花 うつろふからに 色のまされは |
かな |
あきをおきて ときこそありけれ きくのはな うつろふからに いろのまされは |
0280 | |
詞書 |
人の家なりけるきくの花を うつしうゑたりけるをよめる |
作者 | つらゆき(紀貫之) |
原文 |
さきそめし やとしかはれは 菊の花 色さへにこそ うつろひにけれ |
かな |
さきそめし やとしかはれは きくのはな いろさへにこそ うつろひにけれ |
0281 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
佐保山の ははそのもみち ちりぬへみ よるさへ見よと てらす月影 |
かな |
さほやまの ははそのもみち ちりぬへみ よるさへみよと てらすつきかけ |
0282 | |
詞書 |
みやつかへひさしうつかうまつらて 山さとにこもり侍りけるによめる |
作者 | 藤原関雄(ふじわらのせきお) |
原文 |
おく山の いはかきもみち ちりぬへし てる日のひかり 見る時なくて |
かな |
おくやまの いはかきもみち ちりぬへし てるひのひかり みるときなくて |
0283 | |
詞書 |
題しらす/この歌は、ある人、 ならのみかとの御歌なりとなむ申す |
作者 |
よみ人しらす (一説、ならのみかと(平城天皇?)) |
原文 |
竜田河 もみちみたれて 流るめり わたらは錦 なかやたえなむ |
かな |
たつたかは もみちみたれて なかるめり わたらはにしき なかやたえなむ |
0284 | |
詞書 | 題しらす/又は、あすかかはもみちはなかる(此歌右注人丸歌、他本同) |
作者 | よみ人しらす(一説、人丸(柿本人麻呂)) |
原文 |
たつた河 もみちは流る 神なひの みむろの山に 時雨ふるらし |
かな |
たつたかは もみちはなかる かみなひの みむろのやまに しくれふるらし |
0285 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
こひしくは 見てもしのはむ もみちはを 吹きなちらしそ 山おろしのかせ |
かな |
こひしくは みてもしのはむ もみちはを ふきなちらしそ やまおろしのかせ |
0286 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
秋風に あへすちりぬる もみちはの ゆくへさためぬ 我そかなしき |
かな |
あきかせに あへすちりぬる もみちはの ゆくへさためぬ われそかなしき |
0287 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
あきはきぬ 紅葉はやとに ふりしきぬ 道ふみわけて とふ人はなし |
かな |
あきはきぬ もみちはやとに ふりしきぬ みちふみわけて とふひとはなし |
0288 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
ふみわけて さらにやとはむ もみちはの ふりかくしてし みちとみなから |
かな |
ふみわけて さらにやとはむ もみちはの ふりかくしてし みちとみなから |
0289 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
秋の月 山辺さやかに てらせるは おつるもみちの かすを見よとか |
かな |
あきのつき やまへさやかに てらせるは おつるもみちの かすをみよとか |
0290 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
吹く風の 色のちくさに 見えつるは 秋のこのはの ちれはなりけり |
かな |
ふくかせの いろのちくさに みえつるは あきのこのはの ちれはなりけり |
0291 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | せきを(藤原関雄) |
原文 |
霜のたて つゆのぬきこそ よわからし 山の錦の おれはかつちる |
かな |
しものたて つゆのぬきこそ よわからし やまのにしきの おれはかつちる |
0292 | |
詞書 | うりむゐんの木のかけにたたすみてよみける |
作者 | 僧正へんせう(遍昭、良岑宗貞) |
原文 |
わひ人の わきてたちよる この本は たのむかけなく もみちちりけり |
かな |
わひひとの わきてたちよる このもとは たのむかけなく もみちちりけり |
0293 | |
詞書 |
二条の后の春宮のみやす所と申しける時に、 御屏風にたつた河にもみちなかれたるかたをかけりけるを題にてよめる |
作者 | そせい(素性法師) |
原文 |
もみちはの なかれてとまる みなとには 紅深き 浪や立つらむ |
かな |
もみちはの なかれてとまる みなとには くれなゐふかき なみやたつらむ |
0294 | |
詞書 |
二条の后の春宮のみやす所と申しける時に、 御屏風にたつた河にもみちなかれたるかたをかけりけるを題にてよめる |
作者 | なりひらの朝臣(在原業平)(※問題あり) |
原文 |
ちはやふる 神世もきかす 竜田河 唐紅に 水くくるとは |
かな |
ちはやふる かみよもきかす たつたかは からくれなゐに みつくくるとは |
コメ |
出典:伊勢106段(龍田川)。 |
0295 | |
詞書 | これさたのみこの家の歌合のうた |
作者 | としゆきの朝臣(藤原敏行) |
原文 |
わかきつる 方もしられす くらふ山 木木のこのはの ちるとまかふに |
かな |
わかきつる かたもしられす くらふやま ききのこのはの ちるとまかふに |
0296 | |
詞書 | これさたのみこの家の歌合のうた |
作者 | たたみね(壬生忠岑) |
原文 |
神なひの みむろの山を 秋ゆけは 錦たちきる 心地こそすれ |
かな |
かみなひの みむろのやまを あきゆけは にしきたちきる ここちこそすれ |
0297 | |
詞書 |
北山に 紅葉をらむとてまかれりける時によめる |
作者 | つらゆき(紀貫之) |
原文 |
見る人も なくてちりぬる おく山の 紅葉はよるの にしきなりけり |
かな |
みるひとも なくてちりぬる おくやまの もみちはよるの にしきなりけり |
0298 | |
詞書 | 秋のうた |
作者 | かねみの王(兼覧王) |
原文 |
竜田ひめ たむくる神の あれはこそ 秋のこのはの ぬさとちるらめ |
かな |
たつたひめ たむくるかみの あれはこそ あきのこのはの ぬさとちるらめ |
0299 | |
詞書 |
をのといふ所にすみ侍りける時 もみちを見てよめる |
作者 | つらゆき(紀貫之) |
原文 |
秋の山 紅葉をぬさと たむくれは すむ我さへそ たひ心ちする |
かな |
あきのやま もみちをぬさと たむくれは すむわれさへそ たひここちする |
0300 | |
詞書 | 神なひの山をすきて竜田河をわたりける時に、もみちのなかれけるをよめる |
作者 | きよはらのふかやふ(清原深養父) |
原文 |
神なひの 山をすき行く 秋なれは たつた河にそ ぬさはたむくる |
かな |
かみなひの やまをすきゆく あきなれは たつたかはにそ ぬさはたむくる |
0301 | |
詞書 | 寛平御時きさいの宮の歌合のうた |
作者 | ふちはらのおきかせ(藤原興風) |
原文 |
白浪に 秋のこのはの うかへるを あまのなかせる 舟かとそ見る |
かな |
しらなみに あきのこのはの うかへるを あまのなかせる ふねかとそみる |
0302 | |
詞書 | たつた河のほとりにてよめる |
作者 | 坂上これのり(坂上是則) |
原文 |
もみちはの なかれさりせは 竜田河 水の秋をは たれかしらまし |
かな |
もみちはの なかれさりせは たつたかは みつのあきをは たれかしらまし |
0303 | |
詞書 | しかの山こえにてよめる |
作者 | はるみちのつらき(春道列樹) |
原文 |
山河に 風のかけたる しからみは 流れもあへぬ 紅葉なりけり |
かな |
やまかはに かせのかけたる しからみは なかれもあへぬ もみちなりけり |
コメ |
百人一首32。 やまがはに かぜのかけたる しがらみは ながれもあへぬ もみぢなりけり /山川に 風のかけたる しがらみは 流れもあへぬ 紅葉なりけり |
0304 | |
詞書 | 池のほとりにてもみちのちるをよめる |
作者 | みつね(凡河内躬恒) |
原文 |
風ふけは おつるもみちは 水きよみ ちらぬかけさへ そこに見えつつ |
かな |
かせふけは おつるもみちは みつきよみ ちらぬかけさへ そこにみえつつ |
0305 | |
詞書 |
亭子院の御屏風のゑに、 河わたらむとする人のもみちのちる木のもとにむまをひかへてたてる をよませたまひけれは、つかうまつりける |
作者 | みつね(凡河内躬恒) |
原文 |
立ちとまり 見てをわたらむ もみちはは 雨とふるとも 水はまさらし |
かな |
たちとまり みてをわたらむ もみちはは あめとふるとも みつはまさらし |
0306 | |
詞書 | 是貞のみこの家の歌合のうた |
作者 | たたみね(壬生忠岑) |
原文 |
山田もる 秋のかりいほに おくつゆは いなおほせ鳥の 涙なりけり |
かな |
やまたもる あきのかりいほに おくつゆは いなおほせとりの なみたなりけり |
0307 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
ほにもいてぬ 山田をもると 藤衣 いなはのつゆに ぬれぬ日そなき |
かな |
ほにもいてぬ やまたをもると ふちころも いなはのつゆに ぬれぬひそなき |
0308 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
かれる田に おふるひつちの ほにいてぬは 世を今更に 秋はてぬとか |
かな |
かれるたに おふるひつちの ほにいてぬは よをいまさらに あきはてぬとか |
0309 | |
詞書 |
北山に僧正へんせうと たけかりにまかれりけるによめる |
作者 | そせい法し(素性法師) |
原文 |
もみちはは 袖にこきいれて もていてなむ 秋は限と 見む人のため |
かな |
もみちはは そてにこきいれて もていてなむ あきはかきりと みむひとのため |
0310 | |
詞書 |
寛平御時 ふるきうたたてまつれとおほせられけれは、 たつた河もみちはなかるといふ歌をかきて、そのおなし心をよめりける |
作者 | おきかせ(藤原興風) |
原文 |
み山より おちくる水の 色見てそ 秋は限と 思ひしりぬる |
かな |
みやまより おちくるみつの いろみてそ あきはかきりと おもひしりぬる |
0311 | |
詞書 | 秋のはつる心をたつた河に思ひやりてよめる |
作者 | つらゆき(紀貫之) |
原文 |
年ことに もみちはなかす 竜田河 みなとや秋の とまりなるらむ |
かな |
としことに もみちはなかす たつたかは みなとやあきの とまりなるらむ |
0312 | |
詞書 | なか月のつこもりの日大井にてよめる |
作者 | つらゆき(紀貫之) |
原文 |
ゆふつく 夜をくらの山に なくしかの こゑの内にや 秋はくるらむ |
かな |
ゆふつくよ をくらのやまに なくしかの こゑのうちにや あきはくるらむ |
0313 | |
詞書 | おなし(なか月)つこもりの日よめる |
作者 | みつね(凡河内躬恒) |
原文 |
道しらは たつねもゆかむ もみちはを ぬさとたむけて 秋はいにけり |
かな |
みちしらは たつねもゆかむ もみちはを ぬさとたむけて あきはいにけり |