目次 | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
69 不知 |
70 不知 |
||||||||
71 不知 |
72 不知 |
73 不知 |
74 惟喬 |
75 素性 |
76 素性 |
77 承均 |
78 貫之 |
79 貫之 |
80 因香 |
81 高世 |
82 貫之 |
83 貫之 |
84 友則 |
85 好風 |
86 躬恒 |
87 貫之 |
88 貫之 |
89 貫之 |
90 奈良 |
91 遍昭 |
92 素性 |
93 不知 |
94 貫之 |
95 素性 |
96 素性 |
97 不知 |
98 不知 |
99 不知 |
100 不知 |
101 興風 |
102 興風 |
103 元方 |
104 躬恒 |
105 不知 |
106 不知 |
107 洽子 |
108 後蔭 |
109 素性 |
110 躬恒 |
111 不知 |
112 不知 |
113 小町 |
114 素性 |
115 貫之 |
116 貫之 |
117 貫之 |
118 貫之 |
119 遍昭 |
120 躬恒 |
121 不知 |
122 不知 |
123 不知 |
124 貫之 |
125 不知 |
126 素性 |
127 躬恒 |
128 貫之 |
129 深養 |
130 元方 |
131 興風 |
132 躬恒 |
133 業? |
134 躬恒 |
||||||
※90は奈良の帝(平城天皇ともされる)。 |
0069 | |
---|---|
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
春霞 たなひく山の さくら花 うつろはむとや 色かはりゆく |
かな |
はるかすみ たなひくやまの さくらはな うつろはむとや いろかはりゆく |
0070 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
まてといふに ちらてしとまる 物ならは なにを桜に 思ひまさまし |
かな |
まてといふに ちらてしとまる ものならは なにをさくらに おもひまさまし |
0071 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
のこりなく ちるそめてたき 桜花 ありて世中 はてのうけれは |
かな |
のこりなく ちるそめてたき さくらはな ありてよのなか はてのうけれは |
0072 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
このさとに たひねしぬへし さくら花 ちりのまかひに いへちわすれて |
かな |
このさとに たひねしぬへし さくらはな ちりのまかひに いへちわすれて |
0073 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
空蝉の 世にもにたるか 花さくら さくと見しまに かつちりにけり |
かな |
うつせみの よにもにたるか はなさくら さくとみしまに かつちりにけり |
0074 | |
詞書 | 僧正遍昭によみておくりける |
作者 | これたかのみこ(惟喬親王) |
原文 |
さくら花 ちらはちらなむ ちらすとて ふるさと人の きても見なくに |
かな |
さくらはな ちらはちらなむ ちらすとて ふるさとひとの きてもみなくに |
0075 | |
詞書 |
雲林院にて さくらの花のちりけるを見てよめる |
作者 | そうく法師(素性法師) |
原文 |
桜ちる 花の所は 春なから 雪そふりつつ きえかてにする |
かな |
さくらちる はなのところは はるなから ゆきそふりつつ きえかてにする |
0076 | |
詞書 | さくらの花のちり侍りけるを見てよみける |
作者 | そせい法し(素性法師) |
原文 |
花ちらす 風のやとりは たれかしる 我にをしへよ 行きてうらみむ |
かな |
はなちらす かせのやとりは たれかしる われにをしへよ ゆきてうらみむ |
0077 | |
詞書 | うりむゐんにてさくらの花をよめる |
作者 | そうく法し |
原文 |
いささくら 我もちりなむ ひとさかり ありなは人に うきめ見えなむ |
かな |
いささくら われもちりなむ ひとさかり ありなはひとに うきめみえなむ |
0078 | |
詞書 |
あひしれりける人のまうてきて かへりにけるのちによみて花にさしてつかはしける |
作者 | つらゆき(紀貫之) |
原文 |
ひとめ見し 君もやくると 桜花 けふはまち見て ちらはちらなむ |
かな |
ひとめみし きみもやくると さくらはな けふはまちみて ちらはちらなむ |
0079 | |
詞書 | 山のさくらを見てよめる |
作者 | つらゆき(紀貫之) |
原文 |
春霞 なにかくすらむ 桜花 ちるまをたにも 見るへきものを |
かな |
はるかすみ なにかくすらむ さくらはな ちるまをたにも みるへきものを |
0080 | |
詞書 |
心地そこなひてわつらひける時に、 風にあたらしとておろしこめてのみ侍りけるあひたに、 をれるさくらのちりかたになれりけるを見てよめる |
作者 | 藤原よるかの朝臣(藤原因香) |
原文 |
たれこめて 春のゆくへも しらぬまに まちし桜も うつろひにけり |
かな |
たれこめて はるのゆくへも しらぬまに まちしさくらも うつろひにけり |
0081 | |
詞書 |
東宮雅院にてさくらの花のみかは 水にちりてなかれけるを見てよめる |
作者 | すかのの高世(菅野高世) |
原文 |
枝よりも あたにちりにし 花なれは おちても水の あわとこそなれ |
かな |
えたよりも あたにちりにし はななれは おちてもみつの あわとこそなれ |
0082 | |
詞書 | さくらの花のちりけるをよみける |
作者 | つらゆき(紀貫之) |
原文 |
ことならは さかすやはあらぬ さくら花 見る我さへに しつ心なし |
かな |
ことならは さかすやはあらぬ さくらはな みるわれさへに しつこころなし |
0083 | |
詞書 |
さくらのこととくちる物はなしと 人のいひけれはよめる |
作者 | つらゆき(紀貫之) |
原文 |
さくら花 とくちりぬとも おもほえす 人の心そ 風も吹きあへぬ |
かな |
さくらはな とくちりぬとも おもほえす ひとのこころそ かせもふきあへぬ |
0084 | |
詞書 | 桜の花のちるをよめる |
作者 | きのとものり(紀友則) |
原文 |
久方の ひかりのとけき 春の日に しつ心なく 花のちるらむ |
かな |
ひさかたの ひかりのとけき はるのひに しつこころなく はなのちるらむ |
コメ |
百人一首33。 ひさかたの ひかりのどけき はるのひに しづごころなく はなのちるらむ /ひさかたの 光のどけき 春の日に 静心なく 花の散るらむ |
0085 | |
詞書 |
春宮のたちはきのちんにて さくらの花のちるをよめる |
作者 | ふちはらのよしかせ(藤原好風) |
原文 |
春風は 花のあたりを よきてふけ 心つからや うつろふと見む |
かな |
はるかせは はなのあたりを よきてふけ こころつからや うつろふとみむ |
0086 | |
詞書 | さくらのちるをよめる |
作者 | 凡河内みつね(凡河内躬恒) |
原文 |
雪とのみ ふるたにあるを さくら花 いかにちれとか 風の吹くらむ |
かな |
ゆきとのみ ふるたにあるを さくらはな いかにちれとか かせのふくらむ |
0087 | |
詞書 | ひえにのほりてかへりまうてきてよめる |
作者 | つらゆき(紀貫之) |
原文 |
山たかみ みつつわかこし さくら花 風は心に まかすへらなり |
かな |
やまたかみ みつつわかこし さくらはな かせはこころに まかすへらなり |
0088 | |
詞書 | 題しらす |
作者 |
つらゆき(紀貫之) (一本大伴くろぬし(大伴黒主)) |
原文 |
春雨の ふるは涙か さくら花 ちるををしまぬ 人しなけれは |
かな |
はるさめの ふるはなみたか さくらはな ちるををしまぬ ひとしなけれは |
0089 | |
詞書 | 亭子院歌合歌 |
作者 | つらゆき(紀貫之) |
原文 |
さくら花 ちりぬる風の なこりには 水なきそらに 浪そたちける |
かな |
さくらはな ちりぬるかせの なこりには みつなきそらに なみそたちける |
0090 | |
詞書 | ならのみかとの御うた |
作者 | ならのみかと(奈良の帝、平城天皇?) |
原文 |
ふるさとと なりにしならの みやこにも 色はかはらす 花はさきけり |
かな |
ふるさとと なりにしならの みやこにも いろはかはらす はなはさきけり |
0091 | |
詞書 | はるのうたとてよめる |
作者 | よしみねのむねさた(良岑宗貞、遍昭) |
原文 |
花の色は かすみにこめて 見せすとも かをたにぬすめ 春の山かせ |
かな |
はなのいろは かすみにこめて みせすとも かをたにぬすめ はるのやまかせ |
0092 | |
詞書 | 寛平御時きさいの宮の歌合のうた |
作者 | そせい法し(素性法師) |
原文 |
はなの木も 今はほりうゑし 春たては うつろふ色に 人ならひけり |
かな |
はなのきも いまはほりうゑし はるたては うつろふいろに ひとならひけり |
0093 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
春の色の いたりいたらぬ さとはあらし さけるさかさる 花の見ゆらむ |
かな |
はるのいろの いたりいたらぬ さとはあらし さけるさかさる はなのみゆらむ |
0094 | |
詞書 | はるのうたとてよめる |
作者 | つらゆき(紀貫之) |
原文 |
三わ山を しかもかくすか 春霞 人にしられぬ 花やさくらむ |
かな |
みわやまを しかもかくすか はるかすみ ひとにしられぬ はなやさくらむ |
0095 | |
詞書 |
うりむゐんのみこのもとに、 花見にきた山のほとりにまかれりける時によめる |
作者 | そせい(素性法師) |
原文 |
いさけふは 春の山辺に ましりなむ くれなはなけの 花のかけかは |
かな |
いさけふは はるのやまへに ましりなむ くれなはなけの はなのかけかは |
0096 | |
詞書 | はるのうたとてよめる |
作者 | そせい(素性法師) |
原文 |
いつまてか 野辺に心の あくかれむ 花しちらすは 千世もへぬへし |
かな |
いつまてか のへにこころの あくかれむ はなしちらすは ちよもへぬへし |
0097 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
春ことに 花のさかりは ありなめと あひ見む事は いのちなりけり |
かな |
はることに はなのさかりは ありなめと あひみむことは いのちなりけり |
0098 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
花のこと 世のつねならは すくしてし 昔は又も かへりきなまし |
かな |
はなのこと よのつねならは すくしてし むかしはまたも かへりきなまし |
0099 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
吹く風に あつらへつくる 物ならは このひともとは よきよといはまし |
かな |
ふくかせに あつらへつくる ものならは このひともとは よきよといはまし |
0100 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
まつ人も こぬものゆゑに うくひすの なきつる花を をりてけるかな |
かな |
まつひとも こぬものゆゑに うくひすの なきつるはなを をりてけるかな |
0101 | |
詞書 | 寛平御時きさいの宮のうたあはせのうた |
作者 | 藤原おきかせ(藤原興風) |
原文 |
さく花は 千くさなからに あたなれと たれかははるを うらみはてたる |
かな |
さくはなは ちくさなからに あたなれと たれかははるを うらみはてたる |
0102 | |
詞書 | 寛平御時きさいの宮のうたあはせのうた |
作者 | 藤原おきかせ(藤原興風) |
原文 |
春霞 色のちくさに 見えつるは たなひく山の 花のかけかも |
かな |
はるかすみ いろのちくさに みえつるは たなひくやまの はなのかけかも |
0103 | |
詞書 | 寛平御時きさいの宮のうたあはせのうた |
作者 | ありはらのもとかた(在原元方) |
原文 |
霞立つ 春の山へは とほけれと 吹きくる風は 花のかそする |
かな |
かすみたつ はるのやまへは とほけれと ふきくるかせは はなのかそする |
0104 | |
詞書 | うつろへる花を見てよめる |
作者 | みつね(凡河内躬恒) |
原文 |
花見れは 心さへにそ うつりける いろにはいてし 人もこそしれ |
かな |
はなみれは こころさへにそ うつりける いろにはいてし ひともこそしれ |
0105 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
鶯の なくのへことに きて見れは うつろふ花に 風そふきける |
かな |
うくひすの なくのへことに きてみれは うつろふはなに かせそふきける |
0106 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
吹く風を なきてうらみよ 鶯は 我やは花に 手たにふれたる |
かな |
ふくかせを なきてうらみよ うくひすは われやははなに てたにふれたる |
0107 | |
詞書 | 題しらす |
作者 |
典侍洽子朝臣 (春澄洽子、はるすみのあまねいこ) |
原文 |
ちる花の なくにしとまる 物ならは 我鶯に おとらましやは |
かな |
ちるはなの なくにしとまる ものならは われうくひすに おとらましやは |
0108 | |
詞書 |
仁和の中将のみやすん所の家に 歌合せむとてしける時によみける |
作者 | 藤原のちかけ(藤原後蔭) |
原文 |
花のちる ことやわひしき 春霞 たつたの山の うくひすのこゑ |
かな |
はなのちる ことやわひしき はるかすみ たつたのやまの うくひすのこゑ |
0109 | |
詞書 | うくひすのなくをよめる |
作者 | そせい(素性法師) |
原文 |
こつたへは おのかはかせに ちる花を たれにおほせて ここらなくらむ |
かな |
こつたへは おのかはかせに ちるはなを たれにおほせて ここらなくらむ |
0110 | |
詞書 | 鶯の花の木にてなくをよめる |
作者 | みつね(凡河内躬恒) |
原文 |
しるしなき ねをもなくかな うくひすの ことしのみちる 花ならなくに |
かな |
しるしなき ねをもなくかな うくひすの ことしのみちる はなならなくに |
0111 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
こまなめて いさ見にゆかむ ふるさとは 雪とのみこそ 花はちるらめ |
かな |
こまなへて いさみにゆかむ ふるさとは ゆきとのみこそ はなはちるらめ |
0112 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
ちる花を なにかうらみむ 世中に わか身もともに あらむものかは |
かな |
ちるはなを なにかうらみむ よのなかに わかみもともに あらむものかは |
0113 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | 小野小町 |
原文 |
花の色は うつりにけりな いたつらに わか身世にふる なかめせしまに |
かな |
はなのいろは うつりにけりな いたつらに わかみよにふる なかめせしまに |
コメ |
百人一首9。 はなのいろは うつりにけりな いたづらに わがみよにふる ながめせしまに /花の色は 移りにけりな 徒に 我が身世にふる ながめせしまに |
0114 | |
詞書 |
仁和の中将のみやすん所の家に 歌合せむとしける時によめる |
作者 | そせい(素性法師) |
原文 |
をしと思ふ 心はいとに よられなむ ちる花ことに ぬきてととめむ |
かな |
をしとおもふ こころはいとに よられなむ ちるはなことに ぬきてととめむ |
0115 | |
詞書 |
しかの山こえに女のおほくあへりけるに よみてつかはしける |
作者 | つらゆき(紀貫之) |
原文 |
あつさゆみ はるの山辺を こえくれは 道もさりあへす 花そちりける |
かな |
あつさゆみ はるのやまへを こえくれは みちもさりあへす はなそちりける |
0116 | |
詞書 | 寛平御時きさいの宮の歌合のうた |
作者 | つらゆき(紀貫之) |
原文 |
春ののに わかなつまむと こしものを ちりかふ花に みちはまとひぬ |
かな |
はるののに わかなつまむと こしものを ちりかふはなに みちはまとひぬ |
0117 | |
詞書 | 山てらにまうてたりけるによめる |
作者 | つらゆき(紀貫之) |
原文 |
やとりして 春の山辺に ねたる夜は 夢の内にも 花そちりける |
かな |
やとりして はるのやまへに ねたるよは ゆめのうちにも はなそちりける |
0118 | |
詞書 | 寛平御時きさいの宮の歌合のうた |
作者 | つらゆき(紀貫之) |
原文 |
吹く風と 谷の水とし なかりせは み山かくれの 花を見ましや |
かな |
ふくかせと たにのみつとし なかりせは みやまかくれの はなをみましや |
0119 | |
詞書 |
しかよりかへりける をうなともの花山にいりて ふちの花のもとにたちよりてかへりけるに、よみておくりける |
作者 | 僧正遍昭 |
原文 |
よそに見て かへらむ人に ふちの花は ひまつはれよえ たはをるとも |
かな |
よそにみて かへらむひとに ふちのはな はひまつはれよ えたはをるとも |
0120 | |
詞書 |
家にふちの花のさけりけるを、 人のたちとまりて見けるをよめる |
作者 | みつね(凡河内躬恒) |
原文 |
わかやとに さける藤波 たちかへり すきかてにのみ 人の見るらむ |
かな |
わかやとに さけるふちなみ たちかへり すきかてにのみ ひとのみるらむ |
0121 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
今もかも さきにほふらむ 橘の こしまのさきの 山吹の花 |
かな |
いまもかも さきにほふらむ たちはなの こしまのさきの やまふきのはな |
0122 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
春雨に にほへる色も あかなくに かさへなつかし 山吹の花 |
かな |
はるさめに にほへるいろも あかなくに かさへなつかし やまふきのはな |
0123 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
山ふきは あやななさきそ 花見むと うゑけむ君か こよひこなくに |
かな |
やまふきは あやななさきそ はなみむと うゑけむきみか こよひこなくに |
0124 | |
詞書 |
よしの河のほとりに 山ふきのさけりけるをよめる |
作者 | つらゆき(紀貫之) |
原文 |
吉野河 岸の山吹 ふくかせに そこの影さへ うつろひにけり |
かな |
よしのかは きしのやまふき ふくかせに そこのかけさへ うつろひにけり |
0125 | |
詞書 |
題しらす/この歌は、ある人のいはく、 たちはなのきよともか歌なり |
作者 |
よみ人しらす (一説、たちはなのきよとも(橘清友)) |
原文 |
かはつなく ゐての山吹 ちりにけり 花のさかりにあはましものを |
かな |
かはつなく ゐてのやまふき ちりにけり はなのさかりに あはましものを |
0126 | |
詞書 | 春の歌とてよめる |
作者 | そせい(素性法師) |
原文 |
おもふとち 春の山辺に うちむれて そこともいはぬ たひねしてしか |
かな |
おもふとち はるのやまへに うちむれて そこともいはぬ たひねしてしか |
0127 | |
詞書 | はるのとくすくるをよめる |
作者 | みつね(凡河内躬恒) |
原文 |
あつさゆみ 春たちしより 年月の いるかことくも おもほゆるかな |
かな |
あつさゆみ はるたちしより としつきの いるかことくも おもほゆるかな |
0128 | |
詞書 |
やよひにうくひすのこゑの ひさしうきこえさりけるをよめる |
作者 | つらゆき(紀貫之) |
原文 |
なきとむる 花しなけれは うくひすも はては物うく なりぬへらなり |
かな |
なきとむる はなしなけれは うくひすも はてはものうく なりぬへらなり |
0129 | |
詞書 |
やよひのつこもりかたに山をこえけるに、 山河より花のなかれけるをよめる |
作者 | ふかやふ(清原深養父) |
原文 |
花ちれる 水のまにまに とめくれは 山には春も なくなりにけり |
かな |
はなちれる みつのまにまに とめくれは やまにははるも なくなりにけり |
0130 | |
詞書 | はるををしみてよめる |
作者 | もとかた(在原元方) |
原文 |
をしめとも ととまらなくに 春霞 かへる道にし たちぬとおもへは |
かな |
をしめとも ととまらなくに はるかすみ かへるみちにし たちぬとおもへは |
0131 | |
詞書 | 寛平御時きさいの宮の歌合のうた |
作者 | おきかせ(藤原興風) |
原文 |
こゑたえす なけやうくひす ひととせに ふたたひとたに くへき春かは |
かな |
こゑたえす なけやうくひす ひととせに ふたたひとたに くへきはるかは |
0132 | |
詞書 |
やよひのつこもりの日、 花つみよりかへりける女ともを見てよめる |
作者 | みつね(凡河内躬恒) |
原文 |
ととむへき 物とはなしに はかなくも ちる花ことに たくふこころか |
かな |
ととむへき ものとはなしに はかなくも ちるはなことに たくふこころか |
0133 | |
詞書 |
やよひのつこもりの日、あめのふりけるに ふちの花ををりて人につかはしける |
作者 | なりひらの朝臣(在原業平)(※問題あり) |
原文 |
ぬれつつそ しひてをりつる 年の内に 春はいくかも あらしと思へは |
かな |
ぬれつつそ しひてをりつる としのうちに はるはいくかも あらしとおもへは |
コメ |
出典:伊勢80段(おとろへたる家)。 「おとろへたる家に、 藤の花植ゑたる人ありけり。 やよひのつごもりに、その日雨そぼふるに、人のもとへ折りて奉らすとて、よめる。 『ぬれつゝぞ しひて折りつる 年のうちに 春はいくかも あらじと思へば』」 |
0134 | |
詞書 | 亭子院の歌合のはるのはてのうた |
作者 | みつね(凡河内躬恒) |
原文 |
けふのみと 春をおもはぬ 時たにも 立つことやすき 花のかけかは |
かな |
けふのみと はるをおもはぬ ときたにも たつことやすき はなのかけかは |