目次 | |||||||||
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343 不知 |
344 不知 |
345 不知 |
346 不知 |
347 仁和 |
348 遍昭 |
349 業× |
350 惟岳 |
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351 興風 |
352 貫之 |
353 素性 |
354 素性 |
355 滋春 |
356 素性 |
357 素性 |
358 素性 |
359 素性 |
360 素性 |
361 素性 |
362 素性 |
363 素性 |
364 因香 |
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※先頭が君が代原歌。 |
0343 | |
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詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
わか君は 千世にやちよに さされいしの いはほとなりて こけのむすまて |
かな |
わかきみは ちよにやちよに さされいしの いはほとなりて こけのむすまて |
コメ |
ちよとやちよ(千夜と八千夜)のセットは、伊勢が初出(22段:秋の夜の千夜を一夜になずらへて 八千夜し寝ばや飽く時のあらむ)。 万葉にこの組み合わせはない。つまり伊勢の著者の歌。歌の影響力からもこう見るのが自然。 著者は「二条の后に仕うまつる男」(95段)の文屋。それが伊勢の主人公。 伊勢は二条の后との恋愛話ではない。5~6段でそう説明されている。 そういうのは物を知らん外野の噂。下卑た噂話と卑官の文屋の実力を認められない人達の貶めでそうなった。 そうではなく二人で行ったお忍びのお見舞い話。男は后の付人というか子守番。 したがって、349は業平の歌と認定されているが違う。伊勢が業平の歌集という見立てでそうされているが前提が誤り。 業平の歌は全てそう。伊勢以外の歌が何一つない。つまり業平には何もない。 上述で八千夜を出した伊勢22段は、大和の筒井の田舎の男女、著者の馴れ初め話。筒井筒の一つ前の話。 筒井筒は幼馴染が結ばれる話。 「むかし田舎わたらひしける人の子ども、井のもとに出でてあそびけるを、大人になりければ、男も女もはぢかはしてありけれど」 この幼馴染の文脈読めませんか。あ失礼、読んでませんでしたか。 男女の夜の関係を、オフィシャルな関係におきかえたのが千代に八千代。昔男は母親には千代を使っている(84段)。 つまりキミを永遠におもってるというピロートークの枕詞を転用した。 母親とはそこまで一緒にいたくない。気持ち悪いでしょうが。 まして帝など永遠に思うわけない。純粋に気持ち悪いでしょ。だから続くイワオ(巌)を出している。 というか永遠の忠誠を誓うようなことを歴代天皇は何かしました? 自力で。徳政や、天の信任を受けた神わざでも何か発揮されました? いや、そういう実績があるなら分かるよ。あ、カラスに導かれた? 神器がある? その神は何者? この状況でどうして加護があると思えるか。 いやさ、世襲は人格的忠誠の根拠にはならないでしょ。というか二世でも色々足りない象徴なのに万世ならどうなるのよ。マ○セー! でしょ? なぜ隣をバカにできるの。実績は関係ないんでしょ。あの神聖不可侵の統治行為の責任は民に負わせたんでしょ。そしてそれを継承したんでしょ。 じゃあ責任をとらなければ。その意志を表明せねば。耐え難きを耐えさせた相応の。その償い。それが道理でないの。違うならもういいです。 道義的責任と政治的責任は違うとかいう口先の馬鹿げた詭弁はいいです。規定には趣旨がある。特に憲法は統治に都合よく解釈しないように。 そもそも政治にかかわる発言も一律禁止された君主など存在意義が全くない。ただの飾り。なぜ存在が許されたかその天意を考えなくてはならない。 行為と権能と、それがない発言すらも区別できない。それはその根拠となる法を全く重んじていないからである。つまり法ではなく身分を重視する。 つまりこの国は法の支配どころか法治国家ですらない。人の支配の国。人が法をどうとでも踏みにじる国。だから戦争ができる国などと言い出す。 巌(いはほ)は、大きな岩。 岩(Rock)は、古来(聖書=トーラーで)神を象徴する言葉である。その心は、周囲にたやすく流されない。盤石の意志(強い石)。不動の意志。 上記の神は、帝などではない。それを名乗り、民に耐え難きを耐えさせたから人間宣言。それが摂理の作用。 おかしな(危うい)意志にしがみ続けることでもない。そういうのは脆い。内実を理解できない。形だけ口先だけ。 真っ当な(=全き=blame less)意志が求められることは当然の前提。 下賎(金と権力)におもねらない、人の王道・人道を貫く意志。それが永遠の大道。そこからずれるほど命をそこなう。 そこなっておいてそこまで大したことではないという。それが外道で非道、畜生道。 苔のむすまでも、都合よく流されず強い意志をもたれよという、古事記以来の伝統的な天皇への箴言(石長姫)。 このようにわが君主は、君主ならせめてすぐ流されない真っ当な意志をもたれたい、という糸しさと切なさと心弱さとの歌であり、帝マンセーというやかましいだけで思慮が皆無の亡国の癌である体制翼賛の歌では全くないので、一部の方はご安心下さい。だから千代なのである。 |
0344 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
渡つ海の 浜のまさこを かそへつつ 君かちとせの ありかすにせむ |
かな |
わたつうみの はまのまさこを かそへつつ きみかちとせの ありかすにせむ |
0345 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
しほの山 さしてのいそに すむ千鳥 きみかみ世をは やちよとそなく |
かな |
しほのやま さしてのいそに すむちとり きみかみよをは やちよとそなく |
0346 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
わかよはひ 君かやちよに とりそへて ととめおきては 思ひいてにせよ |
かな |
わかよはひ きみかやちよに とりそへて ととめおきては おもひいてにせよ |
0347 | |
詞書 |
仁和の御時 僧正遍昭に七十賀たまひける時の御歌 |
作者 | 仁和帝(光孝) |
原文 |
かくしつつ とにもかくにも なからへて 君かやちよに あふよしもかな |
かな |
かくしつつ とにもかくにも なからへて きみかやちよに あふよしもかな |
0348 | |
詞書 |
仁和のみかとのみこにおはしましける時に、 御をはのやそちの賀に しろかねをつゑにつくれりけるを見て、 かの御をはにかはりてよみける |
作者 | 僧正へんせう(遍昭、良岑宗貞) |
原文 |
ちはやふる 神やきりけむ つくからに ちとせの坂も こえぬへらなり |
かな |
ちはやふる かみやきりけむ つくからに ちとせのさかも こえぬへらなり |
0349 | |
詞書 |
ほりかはのおほいまうちきみの四十賀、 九条の家にてしける時によめる |
作者 | 在原業平朝臣(※問題あり) |
原文 |
さくら花 ちりかひくもれ おいらくの こむといふなる 道まかふかに |
かな |
さくらはな ちりかひくもれ おいらくの こむといふなる みちまかふかに |
コメ |
出典:伊勢97段(四十の賀)。 「むかし、堀川のおほいまうちぎみと申すいまそかりけり。 四十の賀、九条の家にてせられける日、 『さくら花 散りかひ曇れ 老いらくの 来むといふなる 道まがふがに』」 |
0350 | |
詞書 |
さたときのみこの をはのよそちの賀を大井にてしける日よめる |
作者 | きのこれをか(※紀惟岳?情報不足) |
原文 |
亀の尾の 山のいはねを とめておつる たきの白玉 千世のかすかも |
かな |
かめのをの やまのいはねを とめておつる たきのしらたま ちよのかすかも |
0351 | |
詞書 |
さたやすのみこのきさいの宮の 五十の賀たてまつりける御屏風に、 さくらの花のちるしたに 人の花見たるかたかけるをよめる |
作者 | ふちはらのおきかせ(藤原興風) |
原文 |
いたつらに すくす月日は おもほえて 花見てくらす 春そすくなき |
かな |
いたつらに すくすつきひは おもほえて はなみてくらす はるそすくなき |
0352 | |
詞書 |
もとやすのみこの七十の賀の うしろの屏風によみてかきける |
作者 | きのつらゆき(紀貫之) |
原文 |
春くれは やとにまつさく 梅花 君かちとせの かさしとそ見る |
かな |
はるくれは やとにまつさく うめのはな きみかちとせの かさしとそみる |
0353 | |
詞書 |
もとやすのみこの七十の賀の うしろの屏風によみてかきける |
作者 | そせい法し(素性法師) |
原文 |
いにしへに ありきあらすは しらねとも ちとせのためし 君にはしめむ |
かな |
いにしへに ありきあらすは しらねとも ちとせのためし きみにはしめむ |
0354 | |
詞書 |
もとやすのみこの七十の賀の うしろの屏風によみてかきける |
作者 | そせい法し(素性法師) |
原文 |
ふしておもひ おきてかそふる よろつよは 神そしるらむ わかきみのため |
かな |
ふしておもひ おきてかそふる よろつよは かみそしるらむ わかきみのため |
0355 | |
詞書 |
藤原三善か六十賀によみける/この歌は、ある人、 在原のときはるかともいふ |
作者 |
在原しけはる(在原滋春) (一説、在原ときはる) |
原文 |
鶴亀も ちとせののちは しらなくに あかぬ心に まかせはててむ |
かな |
つるかめも ちとせののちは しらなくに あかぬこころに まかせはててむ |
0356 | |
詞書 |
よしみねのつねなりかよそちの賀に むすめにかはりてよみ侍りける |
作者 | そせい法し(素性法師) |
原文 |
よろつ世を 松にそ君を いはひつる ちとせのかけに すまむと思へは |
かな |
よろつよを まつにそきみを いはひつる ちとせのかけに すまむとおもへは |
0357 | |
詞書 |
内侍のかみの右大将ふちはらの朝臣の 四十賀しける時に、 四季のゑかける うしろの屏風にかきたりけるうた |
作者 | そせい法し(素性法師) |
原文 |
かすかのに わかなつみつつ よろつ世を いはふ心は 神そしるらむ |
かな |
かすかのに わかなつみつつ よろつよを いはふこころは かみそしるらむ |
0358 | |
詞書 |
内侍のかみの右大将ふちはらの朝臣の 四十賀しける時に、 四季のゑかける うしろの屏風にかきたりけるうた |
作者 | そせい法し(素性法師) |
原文 |
山たかみ くもゐに見ゆる さくら花 心の行きて をらぬ日そなき |
かな |
やまたかみ くもゐにみゆる さくらはな こころのゆきて をらぬひそなき |
0359 | |
詞書 |
内侍のかみの右大将ふちはらの朝臣の 四十賀しける時に、 四季のゑかける うしろの屏風にかきたりけるうた:夏 |
作者 | そせい法し(素性法師) |
原文 |
めつらしき こゑならなくに 郭公 ここらの年を あかすもあるかな |
かな |
めつらしき こゑならなくに ほとときす ここらのとしを あかすもあるかな |
0360 | |
詞書 |
内侍のかみの右大将ふちはらの朝臣の 四十賀しける時に、 四季のゑかける うしろの屏風にかきたりけるうた:秋 |
作者 | そせい法し(素性法師) |
原文 |
住の江の 松を秋風 吹くからに こゑうちそふる おきつ白浪 |
かな |
すみのえの まつをあきかせ ふくからに こゑうちそふる おきつしらなみ |
0361 | |
詞書 |
内侍のかみの右大将ふちはらの朝臣の 四十賀しける時に、 四季のゑかける うしろの屏風にかきたりけるうた:秋 |
作者 | そせい法し(素性法師) |
原文 |
千鳥なく さほの河きり たちぬらし 山のこのはも 色まさりゆく |
かな |
ちとりなく さほのかはきり たちぬらし やまのこのはも いろまさりゆく |
0362 | |
詞書 |
内侍のかみの右大将ふちはらの朝臣の 四十賀しける時に、 四季のゑかける うしろの屏風にかきたりけるうた:秋 |
作者 | そせい法し(素性法師) |
原文 |
秋くれと 色もかはらぬ ときは山 よそのもみちを 風そかしける |
かな |
あきくれと いろもかはらぬ ときはやま よそのもみちを かせそかしける |
0363 | |
詞書 |
内侍のかみの右大将ふちはらの朝臣の 四十賀しける時に、 四季のゑかける うしろの屏風にかきたりけるうた:冬 |
作者 | そせい法し(素性法師) |
原文 |
白雪の ふりしく時は みよしのの 山した風に 花そちりける |
かな |
しらゆきの ふりしくときは みよしのの やましたかせに はなそちりける |
0364 | |
詞書 |
春宮の むまれたまへりける時に まゐりてよめる |
作者 | 典侍藤原よるかの朝臣(藤原因香) |
原文 |
峰たかき かすかの山に いつる日は くもる時なく てらすへらなり |
かな |
みねたかき かすかのやまに いつるひは くもるときなく てらすへらなり |